風が吹く街へ

風が吹く街へ

はるまき  2019-04-04 20:45:50 
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 ある日、夢を見た。俺が、一人さ迷う夢を。何もかも失い周りを消していく。その夢だけが脳内に凄く焼き付いている。
       * *
「あんた、そろそろ真面目に勉強しなさいよ。帽子ばっかり買ってないでさ」
煩い、また始まった。母さんの勉強コール。うざいくらいにしつこいからだんだん怒りが沸いてくる。
「わかったわかった」
「また適当な返事して……」
煩いなぁ。少し黙ってほしいとか思う自分が嫌になる。
俺が帽子と出逢ったのは、まだ幼さの抜けきれないある夏の日。俺は、暑いからと母さんに言われて帽子を買いにいった。その店は、古くさくて独特な感じがした。店のドアを押し開けるとカランと鈴の乾いた音がする。
「いらっしゃい」
低く渋い声が奥からして、幼い俺は、母さんの後ろに隠れてしまった。
「ごゆっくり」
そのおじさんがニコリと微笑んだので俺の緊張など消え去っていた。俺は、店内を見渡した。赤、白、黒。様々な色や形をした帽子が並んでいた。

……続く………
(集中力切れ)

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  • No.1 by はるまき  2019-04-04 21:31:51 

キラキラ輝いていた。それだけは覚えている。何かに此処まで引かれたのは初めてで、世界が色付き始めた。

  • No.2 by 春川佑冴  2019-04-04 22:31:58 

明るく染まればフワフワと溶けていく。甘い綿菓子の様だった。
「坊主…帽子好きか?」
「…うん!」
おじさんに驚きながらも、声を張り上げた。すると、おじさんは笑った。

  • No.3 by はるまき  2019-04-05 13:28:42 

その笑顔は、怖そうなおじさんから想像する事は不可能だ。俺にも、こうやって人を楽しませたい、夢をみさせたい。そんな思いが芽生えた。
その日から、俺の人生は、ガラリと変わった。変わり果てると、それは楽しい人生で。帽子の事を勉強したり、実際に作ってみたり。喜びと輝きで溢れた毎日だった。
ただ、一つだけ問題が残っていた。それは、俺が帽子を作り続けていけるのか、ということだ。俺は、昔から飽きっぽかった。だから、作り続けるのは難しいだろう。そう感じていた。
「なぁ、母さん。俺が帽子職人になれると思う?」
「無理よ。食って行けないわ、しかもあんたは、諦めが早いでしょ?」
やっぱり。親なら応援してくれても良いのでは?なんて思うが、母さんの言ってる事は最もだ。売れるのはごく一部、一握りの人。誰もが売れる訳ではない。

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