蟲 2019-03-12 00:10:57 |
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名前:東堂 芳乃(とうどう よしの)
年齢:24歳
性別:女
外見:腰まで伸ばした髪は手入れがなっておらず艶がない。それを作業の邪魔にならないよう一本の玉簪で乱雑に結い上げている。切れ長の伏し目がちな双眸に、細い平行眉。化粧っ気がない為、唇は常に肌色。それも伴ってやや中性的な顔立ち。男性と並ぶ高身長の割に、女性としての肉付きは悪く四肢も華奢。渋緑の作務衣を愛用している。
性格:元来はやや引っ込み思案な人の良い気質だが、近頃は仕事の不調により取り憑かれた様に絵筆を握る姿が目撃されている。一度何かに熱中すると周りが見えなくなるきらいがあり、寝食を忘れて絵を描き続け気が付けば実家であった、という事も屡々。弱腰で流されやすい面もあるが、これと決めた事への実行力と頑固さは中々のもの。
備考:一人称私。二人称貴方、名前、名前さん。芸術の分野で名の知れた一族の出であり、本人も油絵を専門とする女画家。とはいえ作品の評価は芳しくなく大会実績も無い為、腕の悪い娘を厭う実家との折り合いが悪い。早く画家を辞めさせ結婚させようとする動きもある為、一層実家に帰れない、帰らない状況が生まれている。それ故現在は貧乏長屋で一人暮らしの身。油絵に関しては技術面での問題は無いものの、絵に感情を乗せられないという致命的欠陥がある為人に感動を与えられない、すなわち"詰まらない"絵が出来上がるという寸法。本人はそれを上手く理解出来ておらず空回りが続いている。
ロルテ:
(何時だって苦しかった。父様の様に、兄様の様に、大勢の観衆を魅了する作品を作り上げられない事が。ならばと恥をかなぐり捨てて何が駄目なのかと聞いて回れど、皆一様に"詰まらないから"と。詰まらない、とは。嫉妬と未知とに身の内から焼け焦げていく様だった。出来損ないのレッテルを一番最初に貼ったのは、__嗚呼間違いなく己である。だから、あの日投げられた一言にこれ程迄に執着しているのだろう。『小匙一杯。小匙一杯でいいんだよ。安穏とした君の絵に要るのは小匙一杯の狂気だ』と、誰が言ったかなんてもう覚えていない、あの言葉。無残絵でも描いてみようか、戦争画でも描いてみようか。そう安易に浮かんだ幾つかの案も、数日の内に己の手によって打ち消された。使い古されたネタでは駄目だ、何か何か、身の程を知らないこの創作欲求に食い潰されない程の題材を。水を求める愚者もかくやの己の耳に届いたのは、女学生のなんて事ないひとつの噂。件の"狂気"と蟲卵と、それらを瞬時に結び付けてしまう位には、当時の己に余裕など残されてはいなかった。熱に浮かされた頭の片隅で僅かに残された理性が『噂如きに躍起になるのか』と警鐘を鳴らしていたが、残された道はこれしかないと、天啓の様にそう思ったのだから仕方が無い。皮肉にも道が示されてからは早かった。ともすれば不審者と警戒されても可笑しく無い状況で、普段は弱々しいと侮られるこの顔が上手いこと作用したらしい。若しかすると男に見間違えられたのやもしれぬ、と今ならば振り返りも出来るが其れは蛇足だろう。兎に角女学生相手に聞き込みを続けていたある日、鈴の音の様な軽やかな調子で彼女らは言ったのだ。確かあの子が持っていらしたわと。其れが誰で、如何に蟲卵に愛情を掛けていたかなんて露ほども興味が無かった。金を積んでも渡さないと言うならば盗む迄だと深夜に忍び込んだ日は流石に良心が咎めたが、己の作業机に手の平大の黒卵が有るという甘い事実を前にすれば直ぐに掻き消えた。何が出て来るのだろう、どんな姿なのだろう。否、そもそも噂は本当なのだろうか。如何に人の情が薄いとはいえ、ある程度の興味は湧くもので思わず蟲卵に声を掛ける日は続き創作欲求から来るのではない待ち遠しさが募ったが、その分重くのしかかってゆくのは強奪の罪の意識で。件の娘もこうして可愛がっていたのかと思うと情けなさから逃げる様にまた蟲卵に話し掛けた。打算的な愛情と罪悪感、それらに育て上げられた蟲卵はかくして成長を遂げたらしい。いつヒビが入るか分からぬからと蟲卵を寝室に移した数日後、寝間着に着替え就寝に入ろうとしていた己を他所に、唐突に孵化は始まって。今日迄感じていた待ち遠しさは何処へやら、緊張にごくりと唾を飲み込む音だけがやたらと響くのを遠くで聞きながら、月明かりだけが頼りの薄暗い部屋の中、ぱきりぱきりと割れていく蟲卵を呆然と見詰めていようか。)
(/深夜にお邪魔します。前トピからずっと気になっていながら素晴らしく練り上げられた世界観を前に最後まで参加の決意が出来なかったのが長らく心残りでしたが、また出会えた喜びについ筆が進みこうして参加希望させて頂いた次第です。些か駄文だとは理解しておりますが、砂乱の御相手にご検討の程宜しくお願い致します。)
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