蟲 2019-03-12 00:10:57 |
通報 |
>籠女
(嗚呼、天女だ――卵の中から現れた蠱惑的な姿を網膜に焼き付けた途端、反射的にはっきりとそう感じた。お嬢であり淑女であり、母であり子であり、女王であり姫でもある。ある種の凄味すら感じさせるほど整った笑顔に、吸い込まれるように引き寄せられる。捕獲されるように伸びてくる腕から逃れる暇もなく、息苦しさを感じてから、唇が重なっていることに気付いた。「――籠女?天女、それが御前の名か」もし自分が健全な男子だったならば―冷静に問答することはなく、この妖しくも美しい花魁を組み敷いて、心行くまでその全てを貪っただろう。だが、久しく体温に触れない冷えた男色の臓物は、相手がとびきりの別嬪であるからといって容易く熱を持つことは無く。「御前の言葉は要領を得ん。此処は人の世ぞ、…天女は愛を喰らう生き物なのか?」抱き締められている腕から逃れる様に身を捩り、今度は此方から腕を伸ばす。豪奢な和服から露見する細い双肩をぐっと握れば、魂消るほど華やかな顔を覗き込むようにして問いを重ねる。今起こっている事のあまりの不可解さから、無意識の内に眉間にしわが刻まれていて。ふと、隣に鎮座する蟲卵から音が聞こえれば、はっと其方を見遣って。)
>月夜
――!人か、!(指一本でも外部から刺激を与えようものなら、この卵は容易く砕け散ってしまうだろう。そんな状況でも、中の赤子は動こうとしない様子だ―まさしく、この世に生まれ出ずるのを心から拒むかの如く。割れ目の隙間から覗いたのは膝を抱えた痩躯。まさかこの卵には、ヒトが閉じ込められていたのか。それはまさに青天の霹靂で、弾かれるように籠女から離れれば月夜を包む卵の殻を掻き分け始める。その奥に縮こまる細っこい身体を見つけるのに時間はかからなかった、その哀れみすら感じさせる貧相な身体に居ても立っても居られず、覆い被さるように抱き締め「怖かろう、寒かろう…」喉の奥から絞り出すような声を耳元で囁きつつ、骨と皮だけの背中を何度もさすってやる。そうして漸く、今自身が抱き締めているのが男であると気付く。華奢な体格から女子だと思っていたが、丸みがなく角ばっている独特の骨格が、相手が男であると物語っていて「坊主、平気か。安心しろ、俺は御前を傷つけん」まさか、震える彼がこの世への生誕をこの上なく拒絶しているだなんて、夢にも思わず。暢気にお人好しを発揮させては、余裕綽々に見える籠女を尻目に、月夜を抱き締めたままその背を子をあやすように撫でて)
(/とても素敵なお返事を有難うございます!此方に釣り合うなどとんでもない、此方こそ主様の素敵な文章に気圧され勉強させて頂きながら、精進させて頂きますので宜しくお願い致します…!今後物語を紡がせて頂く上での質問なのですが、蝶と蛾、お二人への返信は上記の様な形で問題御座いませんでしょうか?また、本編にて主様と紡がせて頂く場面は、毎回満月の夜なのでしょうか…?)
トピック検索 |