名無しさん 2019-03-11 07:31:16 |
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「メールの練習まで相手させてすまないね。……でも、その…な、なんというか電話も出来たら毎日したいと思うのだけど。」
(メールの練習がてら毎日やり取りが出来るのは喜ばしく望んでもない程の事なのだが、少し出てしまった欲は躊躇いがちに口から出てしまう。彼の声を毎日聞ければ、何気ない会話でも良いおやすみから今日何があっただのこんな患者さんに会ったなどと普通にあって話せる程度のモノでいいから一日の締め括りに彼とお互いの声を聞いて眠りに付けたらそんな毎日だといいな。とおじさんが言うには女々しいく大人の余裕を見せてメールだけで十分だよと言うつもりが余計な事を…。服の上から強く握ってしまった携帯の布越しの形を掌で掴むも、断られたらと謎の緊張から目を逸らし唇を強く抱き締め「…勿論、真君が嫌ならメールだけでもいいから。」予防線のつもりで付け足した上記に再び珈琲を飲むも、苦味が増した感覚にもう1つ角砂糖を追加して。少し冷えたからかなかなか溶けない砂糖はザラザラとティースプーンの先端に己の形を主張してくる、まるで自分みたいだ。ぬるま湯に浸かり溶けきれない執念だけを抱き、小さく粒になっても此処に居ると存在だけを主張するいてもいなくても害のないそんな人間の様で人としての何が掛けている存在。悶々と思考だけが先を行って、何回も混ぜ合わせるスプーンは段々と荒々しくなっている行動にはっとなり直ちに辞めると。照れ隠しと純粋な美味しさからお裾分けしたいと思う気持ちは相手から拒否されることも無く、差し出されたのを恥ずかしそうにも食べてくれる姿を見てそんなネガティブ思考は颯爽と消えていた。美味しいかい?と口の端に付いていた僅かなクリームを涙を拭ったのと同様に指の腹で拭い去ると微笑みを浮かべながら其れを自分の口に軽く含み舐めとると。小さい子にするのと同じ感覚でしてしまった行動に此方としてはちっとも後ろ向きな思いはなく、食べっぷりのいい彼を見ているだけで胸が満たされていくのは母性が芽生えた感覚にも錯覚される。平らげる様子をじっくり観察するつもりが、向けられた彼のキラキラとした瞳に何事かと目を見張るとお返しをするつもりの相手がフォークを自分の方へと向ける瞬間で。「私はいいよ。君が食べなさい……。」恥ずかしさ半分、彼に沢山食べて欲しい気持ち半分。断るつもりで言った言葉にやりきれない後悔と好意を無駄にする罪悪感をふと感じたが最後、差し出されたパンケーキの一部を頂く事にしよう。小さくなった声色とすぐ下にある皿に目を落として「じゃあ、ひと口貰おうかな。」頬に集まる熱は恥ずかしさから、小さく開いた口で迎え入れる準備をして待っていると。ふわふわとした生地に絡められた繊細な生クリームはやっぱり美味しいと思わせる絶品ぶり、感謝の言葉を述べつつまたもや周りに鼻を飛ばすかの如く手を頬に添えそうになり。完全に冷えた珈琲を全て飲み干すと定員に新しくお代わりを注文して、ちょっとトイレに行くと席を外す。トイレに向かう途中、割り勘だのなんだのと言っていたことを思い出すと。会計の時払うと申し出ても頑として割り勘で済ませそうな相手の事を思い既にその場で会計をすませると何も無い顔で席へと戻った。ほぼ食べあげられた皿に感心つつ、時計と見上げると頃合のいい時間に針が向いているのに気づく、魔法が溶け現実に戻される終わりを知らしめる。時計の針が止まる筈も無い刻々と刻む時間の音に彼の残された時間が心配になり「…そろそろ時間だね、今日の所はお開きにしようか。」と優しく告げた。「今日はとても楽しかったよ、今度はお互いの休みの日に会えるといいね。なんなら私が迎えに行くから、」寂しさもあるけど確かな繋がりがある安心感と家に戻っても彼の声や言葉が見れる嬉しさに相手の頭を撫でていた。)
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