名無しさん 2019-03-11 07:31:16 |
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(捲られるメニューとそれを真剣に見つめながら模索する彼はどうもお昼はまだ食べてなかったようで、ここに連れてきたのは正解だった。細かく書かれている説明にまでくまなく目を通すその姿は余程お腹が減っていたと見るも、悩んでいる姿もどこか可愛らしく思わず微笑みが漏れ出すのは仕方の無いこと。なんならパンケーキとそれプラスでも余裕で食べてしまいそうなそんな勢いをページを見つめるその表情で何となく察せば「お昼代は私が出してあげるから遠慮なく頼みなさい。」目を細め含み笑いを挟みつつそう告げると運ばれてきたお冷に手を伸ばし外を歩いていたからか乾いていた喉を潤した。やってきた定員をそのまま呼び止めて彼の手元に開かれたメニューを覗き込みながら、「私は珈琲と…そうだな、林檎のタルトを。彼も珈琲とパンケーキ、あと日替わりサンドをお願いします。」先程から入念に見ていた料理名を定員に告げると、繰り返されるのを聞き届ければ戻っていく姿を見送って。「…勝手に頼んでしまったけも大丈夫だったかな?」ほいほいと進めて行ったのを確認しつつ、もし足りない分はまた頼めばいいか。そう結論付けると先程した推理はどうも的を得ていた、つい先日小学校の近くを通った時賑わう児童の声を聞きながら新しく建てられたマンションを目にしたのを思いだし。まだ塗りたてのペンキの匂いを含んでいた綺麗なその建物になるほどと頷き、建てられた人差し指はピースの形に。見事に成功させた小さな推理に此方も面白くなり控えめに吹き出しつつ。
「じゃあ、そんなに距離も無いし。何時でも会えるわけだね、…真君が良ければだけどこうやって私の話し相手になってくれないかな?ほら昔みたいに。」
病院から、そう遠くもなく別れを惜しむ程の距離でないことに安堵するとまた話せる機会も増える事がとても嬉しく感じた。話し相手が増え、又こうして食事出来る中の人は悲しいことに全くと言えるが居ないのが寂しい今の現状で。それも身近な極端に言えば身内に近いこの子なら変に気を使うこと無く、若い友人もいる訳のないこの歳に新鮮さを手に入れた気持ちに心が踊りながら、昔みたいを思い出した。よく一緒にいた彼とたわいもない話をしては笑い合う、ほんとに年の離れた兄弟のような感覚が未だ抜けていないのか上記を述べた後。先に運ばれてきた珈琲に目線を移す、黒く深みのあるその自身の色を波立てながら白い陶器の中に佇む凝縮された液体に1粒の角砂糖を放り込んでティースプーンで手早く混ぜて「連絡先、交換しておく?」今は楽しい時間でも夕刻になれば帰らないといけない彼、また会うにしてまお互いの身の上を知らないと意味をなさない。未だ使い慣れないスマホを取り出すと彼の前に差し出して。)
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