名無しさん 2019-03-11 07:31:16 |
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(引かれた手、いや詳しくは指なのだが掴まれた薬指は擽られたりと弄ばれるのをこらこらと優しく宥めながら丁度着いた店先の扉に手をかけて。掴まれた手をそのまま相手の肩に、扉を開け先に相手の身体を店中に押し込める形になるがそれに続くようにして、後ろ手に扉を閉めると昼の少し過ぎだからかお客の少ない店内は何処からかクラシック系の音楽がかけられていた。充満する珈琲の香りと之また雰囲気にあったマスター及びここの店長さんに軽く頭を下げればよく来る常連として軽い会釈が返ってくる。日の当たりがよく空いている時はほぼ座る特等席とまでは言えないがお気に入りのその場所に誰も座っていないのを確認して彼を手前に自身は奥側に。向かい合わせに腰を下ろして。
「此処はよく好んで来ててね。珈琲とパンケーキが美味しいんだよ。」
この歳でパンケーキとはやや恥ずかしいが年相応の彼なら気に入ってくれるだろうか。いや、食べ盛りの彼ならもっと何か腹に溜まるものの方が良かったかなと1人でに考える事数秒。その考えの以前に彼の腹が空いているかの否かと辿り着くことまた数秒。「お昼は食べたのかな?」短めに問いかければ横に並べられていたメニューを相手の目の前へ、自身は軽くだがおにぎりを食べたため珈琲のみを頼めばいいかと思案すると、彼の顔を微笑みながら眺めていた。静かな空間、細々と聞こえる少ないお客の話し声に無意識に聞き耳をたててしまう。おっとプライバシー的な失礼な行為にやめようともう一度彼へと向き直ると先程相手の言った引越業者について口を開き「引越業者が来ると言っていたけど、住まいはここら辺なのかな…もしかして、私の病院の近くだったりして。」推理探偵らしく人差し指を立てて神妙そうに述べるも、彼と出会った場所からそう遠くもない病院。見たところ歩いていた姿から幼稚とも言える簡単すぎる推理なんだが。近くだったらいいなと、そんな考えを織り交ぜてそう告げていた。
「近くだったら直ぐに会えるのにね。」
本心的にそうならいいなと軽い気持ちでそう付け足して。)
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