名無しさん 2019-03-11 07:31:16 |
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(質問ごっこの同意を得るなり叔父と共にゆったりと歩き出した足取りは軽く同じ景色を戻っていくだけなのにやけに明るく新鮮なものとして瞳に映るのが不思議ではあったが、それよりも隣で歩くこの人の事はずっと眺めて新鮮さを失くしても飽きないのだろうなとの謎比較をぼんやりしてしまうのは横目で何度もこっそり思案している様子の叔父の横顔を盗み見ているからで。時々此方を気遣うような空気を感じつつてっきり考えているのは質問内容だと思い込み後方である自分はまずは何を質問しようかと己の唇を軽く指先でなぞりながら考えていたのだけど相手の口から出てきたのは話場所の提案であり、当たり前と言えばそうなのだが目的地は叔父の隣で場所など考えもしなかった分だけ不意を付かれたようにキョトンとした間を一瞬作りだしてしまった。)
「あそこか……勿論、構いませんよ。引越し業者が夕方にくるので長い時間は難しいかも知れないですけど。一度、行ってみたかったんです…っ、い、いいえ……」
(来た道とは少し外れた場所にあるカフェに遅れて記憶を辿らせれば叔父が度々利用していたところだと思いだしてはポツリ。子供視点から大人限定といった佇まいを持つ店の中に叔父が消えても後を追う勇気が足りず、かといって連れて行ってと内緒で後をつけたことを白状する訳には行かず、結局見送るばかりだったカフェに入れるのは正直に嬉しく時間の制限があることだけ事前に伝えて大人らしく落ち着いたトーンでクスリと笑みを零し快諾するのだが、逆光で色彩を落とし印象を変えた叔父が髪を耳に掛ける仕草に魅入ってしまえば大人の魅力の格が違うのだと丁度よく吹いた小風に教えられるようだった。肩に触れた髪先に謝りを入れる叔父に気にはしていないと首を振るも少し上擦った声になってしまったのは離れていく髪を残念がりながら触れたいと僅かに熱を込めた目で追いかけてる自分に気付いたからで、そんな思考にハッとなれば少しだけ距離を置くように足の歩みを速めてしまうがピッタリと歩行ペースを合わせてくる叔父が確認出来れば悪戯心で緩めみたり速めてみたりで、楽しい可愛いと口元が緩む。)
「ああ、二人で来てたら運転も交代で楽でしたね。……お嫁さんでも連れて帰ってきたと思いましたか? 残念なことに転勤で今日から1人暮らしですよ」
(目的地のカフェまであと少しといったところでの質問にそのままの意味で歩を進めながら空を見上げて涼しい顔で返してみるも、最初の質問に出ていた一人暮らし云々に繋がっていくものであることは察しがついていて故郷に戻ってくる理由としても良く聞く話でもあるのだが、それでも"良い人が出来たか?"なんて叔父の口からは聞きたくはなくて表情を見れずに落とした目線の先、相手の薬指に尋ねるようして伸ばした指先で指の付け根を擦るようにして触れながら先に明るい素振りでネタバラシをして。それに便乗するように相手の指先を緩く前に引くと、目前まできた店への到着を確かめるように「此処でしょう?」と首を傾げ尋ねてみて)
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