名無しさん 2019-03-11 07:31:16 |
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(矢継ぎ早に飛んでくる言葉はどれも此方への心配と歓迎を含んだものばかりで後ろめたい想いがあるにしろ気まずさを覚えているのは間違いなく自分だけだという点が解ってしまえば、ずっと悲惨な妄想に取り憑かれていた靄が晴れていくようで何処から応えていこうかと思案しながら此処で初めてきちんと叔父の姿を見ることが出来たような気がした。そっと目を配らせた限りでは維持されたスラリとした体型は相も変わらず格好よく、触らせてと手を伸ばしていた髪は幼い頃の自分でも届きやすい位置まで綺麗なまま伸びている様子で。己の背丈の成長により屈んで貰わなくても顔が眺められる事に感動を覚えながら年相応といった小皺が目尻に増えた事により若干ではあるがツリ上がり気味な目の印象が柔らかくなっている事にも気がつけた、もっとも会えばこうして喜ぶように優しく細めてくれる目を怖いと感じたことは一度もなかったが。)
「まずは、そうですね。……ただいま、おじさん。今日は長時間車で戻ってきたからそのせいかも。で、でも元気はありますから安心して下さい。 あとは──、」
(一旦質問を切上げ優先してくれた挨拶に同意するように僅かに頷いてから此の街に戻ってきてから1番目の"ただいま"を口にする。茫然としていた内側の自分が額を抑えたような感覚がしたが靄のない現状の視界では叔父の事しか見えず、暖かさに応えようとした頬が緩み先程より自然に笑顔を出せていることが嬉しく気にもならなかった。そんな自然な笑顔も熱を測るようにして叔父の長い指をもつ手が首に触れてくれば途端に熱を上げだす肌と心臓の動揺を隠すために固くもなってしまうのだが、叔父の心配を拭うため本当ではないが嘘でもない理由を彷徨いそうになる視線を制して平然と述べることだけに集中して。バクバクとした緊張から罪のない蜜柑を変形させてしまう前に首から懐かしの定位置に叔父の手がぽふり移動すると不思議と心拍数が落ち着きを見せたのでホッと静かに息を付き、最後になった最初の質問応答をとも思ったのだが数分の短い話にならないだろうとの考えと自分も今この時でも構わないから叔父の話を聞きたい、そんな欲が生まれれば前の道を開けるように叔父の横にそわりと瞳を静かに輝かせ並びだして)
「あとは、歩きながら話しませんか? 質問は順番子で」
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