名無しさん 2019-03-11 07:31:16 |
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─────では、体調には十分注意してゆっくり休んでくださいね。
(白い部屋、消毒液の匂い、子供向けのシール。少し狭い部屋に響く声は何度目だろうか。今日は早朝からの勤務でお昼すら食べてないというのに人の出入りは滞ることは無く、パソコンばかり見ていたせいか目頭を押さえるも疲労は一向に目に押し寄せてきていた。また何度目かの軽い挨拶と診断書を握り締めた患者さんを見送ると椅子の背もたれにゆっくりと体重を掛けていく。疲れた、本当に疲れた、何度呟いたかわからない程のその言葉に微かな溜息を漏らすもあと1件で今日の仕事は終わり。そういいきかせ残り僅かに残っているやる気を絞り出した、残り1件は病院の近くに住んでいるお婆さんの自宅に訪問し往診するだけ、散らかりつつあった器具を鞄に押し込めてその部屋を後にした。
「…さすがに、貰いすぎてしまったかな。」
往診も無事に終わり、見事に無駄話に花が咲いてしまった今。急いで病院の看護師に連絡を取るも朝からの激務に気を使ってくれたのかいつも自身の役目の戸締りもしてくれたらしく、喜ばしき直帰をしている道中。そのお婆さんに持たされた大量のみかんと帰路を辿っていた、だがやはり貰いすぎたそれに袋は耐えられなかったのか少し軽くなったかと思えば次から次に─ゴロゴロ、と転がり続けていくみかん。「…え!?、あぁッ。」遅れた反応と脳裏に浮かぶのは日本昔話のように道を転がるみかん、わたわたとその後ろを遅くも早くもないスピードで追いかけるもなかなか距離が縮まらない。前方に見える人影、道の端で足を止めているその後ろ姿に吸い込まれるように身を転がすそれはちょうどその人影の足元に。「すいません。そのみかん取って貰えます…す…。」歩み寄り顔のはっきりとしたその人物に“か?”の言葉は引っ込んでいき、幼い面影、なんとなくなのに脳は確信をえているのか目を見開き見つめることしかできないのは何故だろう。「もしかして、真くんなのかい?」みかんのことなど忘れていた、ただ目の前の。この子の正体が知りたい、そう言葉を吐いていた。)
(とてもお素敵な文にわくわくしながらも絡ませて頂きました!せっかく病院を目指して頂いたのに何故か迎えに行く形に…。これで大丈夫でしょうか?もし不備な部分やご指摘が御座いましたらご遠慮なく言ってくださいね!やや無理矢理な出会いになりましたが、主様の息子様とのこれからを楽しみにしていきます。)
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