砂糖 2019-02-19 16:11:03 |
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今夜は冷えますね──……、( ひんやりとした風が頬を掠めるとつい背筋が震えて、冷えた指先を羽織の内側に隠し。桜も散り初夏も始まろうというのに今日はやけに冷えて感じる。すん、と冷えた鼻先が空啜り。誰に言うでもなく呟いた言葉は、すう、と夜に溶け込んで消えていき、まるで闇が自分を吸収していくみたいで慣れたはずの夜も少し怖く感じれば、人間の性だろうか光に縋ろうとするようで、ぱ、と宙を見上げる。淡く満ちた月に、安堵すると同時に酷く物悲しい。優しく静観する月はまるで、……脳裏に描きかけた姿を振り払うように一二往復ほど首を左右に振れば、地を踏みしめ、夜闇に進む。 )
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