チェシャ猫 2019-02-06 16:32:33 |
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ロルテ用絡み文
(不思議の国には時間がない。否、昔はあった筈だが何時の間にか、という言葉が正しい。だから今が何時か、分かる者もいない。のんびり屋で怠惰者の自分にとっては好都合、時間がなければ待ちあわせも出来ない。そんな世界なのに。「――アイツは何で時計を持って慌ててるんだァ?」空には太陽がいつもと変わらず弱々しく光を落として。日課の昼寝から覚めて微睡みの中を泳いでいると、己のリズムとは似ても似つかない足音。不愉快に眉を顰めてそちらを見やれば、この世界の住民である白兎が首から下げた懐中時計を片手に、どうやら城の方へ向かって走っていて。小さく言葉を漏らせば、己の真横を走り去ろうとする兎の耳をひょいと持ち上げて。「なァ、なんたってアンタはそんなに急いでる?オモシロイもんでもあんの?」目を細めて笑い掛けるように問えば__アリスが。白兎の言葉は只一言。そのまま身を翻すようにして己の手から離れた白兎を、追うでもなく走り去っていく背中を見送って。思わず揺れた耳が好奇心からなのは疼く尾が語っている。序に瞳の色に赤が掛かってきているのもそのせいだ、と一人語ちれば、視線を先程から嗅いだことのない匂いが強く鼻につく背後へ巡らせ「――あいつのことかァ?」視線の先には見たことのない男が一人。)
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