無色 2019-01-28 19:44:02 |
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──失礼いたします…。
(今日は初顔合わせの日。 22年間暮らしてきたこの家と育ててくれた両親とも暫くは会えなくなるだろう。振り返れば今日まで色々な事があったなと思い出しながら、長い髪を着物に合うように結い、顔合わせするために着ていく母親から譲り受けた淡い紅色の着物を袖に通し姿鏡を見ながら慣れた手つきで着付けていく。しかし普段はあまり着物を着ないため若干息苦しさに顔を歪めつつ、着飾った自分の姿をまじまじと見つめてはニコリと鏡に微笑みかけて。その後出発の時間まで両親と他愛もない会話をすれば楽しい時間はあっという間に過ぎていき、出発の時間を迎えるとこれまでの想いが溢れてきたのか涙を溜め込み最後の挨拶を交わして。そして荷物を手に取れば深々とお辞儀をしたあと振り返る事なく家を後にし、これからお世話になる九条院家を目指して歩みを進めて。どういう訳か清水家と九条院家はさほど距離は離れておらず歩くのには苦ではないのだが、冬の寒さには慣れるはずもなく白い息を吐きながら冬の日差しを体に感じストールで肩を覆い、車が行き交う賑やかな街を横目にやりながら高級住宅街を抜け、その奥に広がる竹林に辿り着くと何故か急に緊張感が押し寄せてきて。しかし今更引き返す訳にもいかず深く深呼吸をしながら更に奥へと進んで行けば立派な門構えの屋敷が見えてきて。「うわ…すごい…」と思わず口にしながら門をくぐり抜けるとなんとも綺麗な日本庭園が広がっており思わず足を止めて見入っていれば、女中の1人だろうか声をかけられ軽く挨拶を済ませると既に本殿で待たれているとの事。それを聞き慌てて屋敷内に上がれば女中に案内されながら彼が待つ本殿の奥にある広い部屋に足を踏み入れて。ふと視線の先に伽耶が垂れ下がっているのに気付けばふぅ、と小さく息を吐き緊張感漂う中凛とした姿で近くに歩み寄ればスっと膝を折り曲げ両手の指先を上品に付き頭を下げながら上記を述べたあと「本日よりこちらでお世話になります…清水京香と申します。よろしくお願い申し上げます…」と落ち着いた声色で挨拶をすればゆっくりと顔を上げまだ見ぬ彼の方をじ、と見つめて)
(/初回ロルありがとうございます!少々長くなってしまいましたが絡みにくい等ありましたらご遠慮なくお申し付けくださいませ…!)
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