2019-01-22 17:58:35 |
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この世界ではたった一つの小さな願いさえ叶わない.
天界に住む心優しき天使は人間に憧れた.羨ましくなった天使は考えた.自分の背中に生えた美しく綺麗な羽を人間に一つずつあげたなら、もっと皆が幸せになるのでは、と.
そうして天使は人間に希望という名の羽をあげ始めた.それから数日の事.天使の噂を聞きつけた人々が集まっては我先にと天使の羽をもぎ取り、あっという間に羽は無くなった.
この時、天使の背中はとても痛ましく見てられない程に変わり果てた姿へとなっていた.
だけど、天使が思ったのは痛いでも辛いでも無かった.胸を締め付ける様な" 悲しい "という感情だった.
あんなに羨ましく思っていた筈の人間なのにどうしてだろう、こうも醜く見えるのは.欲望とはなんて悲惨なんだろう.
心優しき天使は全ての羽を失い、天界へと帰れなくなって望んでいた人間へとなる事が出来た.
自分が望んでいたのとは違う.こんな筈じゃ無かった.自由で楽しそうな人間の生活に憧れただけなのに.
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