この青い空の向こうには 〆

(おそらく少し前までは、自分と同じ人であったろうそれ…
いや、もしかしたらただ正気を失っているだけなのか
とにかく、このままここに座りこんでいたら自分もきっと目の前の人と同じ運命をたどることになる
そうしたらもう二度と沙穂とクレープをたべに行くこともできなくなる
それはイヤだ、もう一度沙穂に会いたい！
その強い思いが通じたのか、産まれたばかりの小鹿のように震える足で、シャッターにつかまりながらなんとか立ち上がろうとして
でも相手はもう目前まで迫っていて、襲われるっ！と目をつむって
でも終わりの瞬間はなかなかやってこず、おそるおそる薄目を開くと
自分と相手との間に、自分と同じ制服を着た女子が立ちはだかって、どうやら消火器を噴射して相手を怯ませて助けてくれたようで
沙穂？
……違う、だれ？)

あ、あの…？
(口の中が渇いて、声がかすれて
微かな小さな声で、目の前でこちらに背を向けて戦っている女生徒に声をかけて)