鯨木かさね 2018-12-31 13:01:56 |
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…笑顔が出来ないことはもう十分自覚しています。貴方から貰った鏡で練習しましたが、私の表情筋は正常に機能して無いようですので、
(一段と楽になった呼吸、少し前を緩めてくれたお陰でなんとか落ち着きつつ深く息を吸ってはゆっくりと吐き出す。熱のせいか体の節々に鋭い痛みは発熱時の独特感で以前風邪をひいたのは何時だろう。彼がいるのにふと思えば幼い記憶、古い過去に思考を切り替え朧気に断片的なその場面を思い浮かべることが出来た。まだ自分に罪歌が宿っていない頃、人間じゃなくともまだ幼い子供だった自分は熱にうなされていた。その時は親代わりの祖母に一時期育てられており、熱で魘された自身を回復まで看病をしてくれたその人と今目の前の彼が重なりそうになり懐かしい何かが奥深くからぐっと押してきそうになる、脇腹に差し込まれた体温計と彼の手の冷たさに肩を僅かに震わせるもその思いもまた奥に押し込めて。「────つらいものですね。」そうポツリと漏らした。風邪に対しての感想なのにいままでの全てに当て嵌りそうな…そんな言葉を述べた後、ゆっくりと体温計の音を聴きながら微笑みに似た自傷的な、そんな表情を浮かべて。)
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