鯨木かさね 2018-12-31 13:01:56 |
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>鯨木さん
(出口のない暗闇をひたすら彷徨い続ける。こういう時よく物語では誰かが自分の名前を呼んでくれたり、光と共に手を差し伸べて暗闇から引きずり出してくれたりするのだが、どうやら自分にはそれはないようだ。現実の自分は今更そんなことに悲観的にはならずむしろ暗闇を楽しむくらいなのに、夢の中の自分は何故か焦っていた。何を焦っているのか、馬鹿なんじゃないの。と自分の夢に悪態をついたとき頭を撫でる心地よい感覚がした。冷たいようで芯がじわりと温かい。つい最近も誰かに同じことをされた気がする。…誰だったっけ。────「鯨木さん。─……何してるの。」意識が浮上すると共に視界に移った顔。一瞬寂しげに見えた気がして思わず彼女の名を呼びかけるが、ぼやけた視界がクリアになるとそこにはやはりいつもの無表情が。不機嫌を隠さず眉を寄せるもまだ傷が痛むせいか動こうにも動けず威嚇するように睨む。でもその睨みも意味を為さないだろうとため息を吐いて再び彼女を見上げる。この際、膝枕のことを問い詰めるのは自爆剤にしか成りえないので放っておこうと決め、下からじっくり彼女の顔を観察する。例え人外でもどこから見ても美人。「鯨木さんさ、もう少し笑ったら可愛げ出るんじゃない?」と悪戯に笑み、彼女の口元に手を伸ばして人差し指で片側の口端を持ち上げさせた。)
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