鯨木かさね 2018-12-31 13:01:56 |
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>折原臨也様
(機械音が途切れ綺麗に洗われたコートは赤い染みなども一切なく見違える姿となって、それをそのまま乾燥機に放り込むと再び部屋へと戻った。完全じゃない治療を施した彼の安否を確認しようとしたがそこにあったのは横たわる彼と閉じられた瞼、同時に聞こえてくる寝息に珍しいものを見たと目を瞬かせ。彼の素直な一面をみた特別感と新鮮さに近寄りその寝顔を機に、これでもかとガン見し続け。寝ているせいかあどけなさが滲み出る表情になんとなく手を伸ばせば顔にできている小さな切り傷のようなものをさらりと撫で上げた。手の位置をそのままスライドさせ黒髪に手を埋めるも一向に起きない彼はそれ程までに体力を消耗していたのだろう、眉間に若干の皺が集まっている。寝ているだけなのに、穏やかな寝顔から呻き声に似た声を上げていてやはり治療したと言ってもまだ痛みもひどいのだろう。寝ている頭の頭上位置に腰を下ろせば相手の頭をそっと持ち上げて自身の膝をそこに差し込めば、膝枕の体勢へ。後に起きた彼が騒ぐ光景が目に浮かぶも今は気にせず静かに頭を撫でていた。「…貴方には少なからず、死んだら悲しむ人がいるじゃないですか。」そう告げた、彼には双子の妹がいて岸谷新羅という友人のような存在もいるというのに。悲しみを帯びた先程の彼の問いかけは一体なにを不安になったのか。自分には分かりえないことだとしても自分の心に渦をまいたのは確かだった。)
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