鯨木かさね 2018-12-31 13:01:56 |
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>折原臨也様
(彼の悲痛の声は、ぞくりと背筋に感じたことの無い何かを感じさせてきた。手の内にある傷口に、爪を抉り込めばどんな声をどんな表情を見せてくれるだろう…きっとそんなことをしたら相手も黙っているわけもないが傷をなぞる手にまた少し力を込めてしまった。指先に付着した赤い血を目にしやんわりと傷から手を離して取り出した包帯をある程度の長さに切り取って、もう反対に手にしたガーゼに消毒液を浸せば傷口の周りと腫れた患部に押し当てて。「本格的な技術と知識はありませんが、応急処置程度ならできます。」解剖と聞こえたことは聞き流した、罪歌で人を解剖するのはもってのほか。自身はどちらかと言えば血とか怪我とかはあまり見たくもないというのに彼の減らず口はこの程度の怪我ではなくなることも無いと内心諦めて。血を流しすぎたからなのか、いきなり口を閉ざした相手に瞳を向けれるといきなりしおらしくなった表情に静かに閉じられた瞼。そっと問いかけられるそれには寂しさなのか若干の虚無感を感じて、いきなり重々しくなった空気。でも、「…そんな人物は存在致しませんし、考えたことも御座いません。」きっぱりと、何も変わらないそんな声量で答えると。手にした包帯を彼の腰周りに巻いてやりながら「死んだら喜ぶ人物はきっといるでしょうけど…。家族も友人とも呼べる人がいないので、死んだら困るのは仕事上のお客様ぐらいでしょうか。」手元に目線を下げながら綺麗に巻き終えた包帯を見て、同時に持ってきたブランケットを彼の肩に掛けた。取り出した道具を元の場所に押し込みつつ「それに、死んだら。なんて考える様なことは普段しないようにしています。いつ死んでもおかしくない身ですので、できるだけ「今」を楽しむつもりです。」そう言いのけてコートを洗濯するためその部屋を出ていった。)
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