鯨木かさね 2018-12-31 13:01:56 |
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>折原臨也様
(彼の口から出た言葉に自身への評価は無難で特に問題ないとのこと、及第点と言ったところだろう。スタスタと何処かへと向かう彼の背中を追いかけて素直に行く先へと歩いていく。先程から感じる周りへの視線、彼に向けられているのかそれともやはりこの格好ではおかしかったのか…。その視線の意味とは全く違う理由を想像して、もしかしたら彼に気を使わせてしまっていたのかも、と勘違いしていた。そんな事を悶々と考えながら着いた先は自分の普段の生活では滅多に行く機会の無いゲームセンターだった。自動ドアが開き耳に流れてくる騒音、中へと踏み入れれば沢山ある液晶画面から漏れでる眩しい光は目をチカチカさせる、彼と共にその奥へと進み立ち止まったのはクレーンゲーム機の前。積み上げられた10枚の百円玉と彼を見つめれば、このガラスの向こう側の猫のぬいぐるみを取れとのことで。「…分かりました。」硬貨を1枚掴みコインを投入する穴へと其れを押し込む、きっと一日中付き合うであろう謎の多いこの行動の意味をもう追求するのは辞めた。動き出すクレーンに目を向けると種類、色様々な猫のぬいぐるみ。その中の一つに黒の猫を見つけた、この前横の彼といった猫カフェで出会った黒猫と何処か面影が似ていて。無意識にその猫目がけて慎重にクレーンを下ろしていく、クレーンゲー厶のやり方は知っていてもやったことは無い。するりと落ちる人形は元いた場所より少しズレたところに着地した、再びコイン入れてはクレーンを動かす作業を黙々と終始無言で続けた結果。残り1枚の百円玉を残して手元に人形がやってきた、達成感を覚える必死の奮闘の末見事げっとしたそれを彼の元まで持って行き「───中々難しいものなのですね、最初の1回で取るつもりでしたがなかなか手に汗握る体験でした。…では之を、ご所望されたぬいぐるみです。」彼がどれほどこの人形を欲しかったのかは知らないが、手触りの良いその人形を数回撫でて彼へと差し出した。)
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