鯨木かさね 2018-12-31 13:01:56 |
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>鯨木さん
(声を掛けられて視線を上げたのは恐らく自分だけではないはずだ。自分は声を掛けられた当人だから良いとして、周りにいた連中…、男だけでなく女までもが彼女の秀麗さに魅せられていた。普段スーツでカチッとしているから美人でも声を掛けられる率は下がっていたかもしれないが、今自分の周りにいる男どもは付け入る隙を今かと探っている。ここまで来るのに平気だっただろうかなんていらぬ心配をしたところで胡散臭い笑みを浮かべて「…無難でいいんじゃない?」と。弁明するが、人間の服装を褒めたことない自分が人外の彼女に対し“いい”と使うのは最高の褒め言葉だ。「じゃあ、行きましょうか。」挨拶もそこそこにやはり今日の目的は口にせずにスタスタと人混みの中をこちらから避ける動作はせずにまっすぐ歩いていく。6階建てほどのビルまで来ると上階には上がらず一階のフロアへ進む、と自動ドアが横へ開いた途端、中から閉じ込められていた騒音が鼓膜を揺らして。訪れた場所、そこはゲームセンターだ。自分でも仕事でなければまず来ない場所。その奥へ進むと目的のクレーンゲームの前まで来て1と2と書かれた丸いボタンの横に100円玉を10枚重ねて置いた。「これ、3日間限定の景品なんですけど、鯨木さん取ってくださいよ。」と透明な板越しに此方を見つめてくる猫のぬいぐるみたちを指さして訳のわからない発言を周囲の音に消されないようやや声を張って述べ。猫好きの彼女はもしかしたらチェックしているだろうかなんて反応を楽しげに伺っていた。)
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