鯨木かさね 2018-12-31 13:01:56 |
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>折原臨也様
(一方的に切られた電話、ツーッツーッと電子音だけが聞こえてくる。相手はほんとに何をしたいのか、今回待ち合わせ場所に指定されたのは池袋の中央に佇むあの銅像のある場所で、そこまでは良かった…だがそれに付け加えられた条件は彼の心境を表していてこの前同様に疑問符だけが頭に浮かぶ。なぜスーツではいけないのか、なぜ可愛らしい服装を要求されるのか真っ暗になった画面を見つめて考え込む。もしかしたらこの今の状況さへも彼が思い描いた通りのシナリオならまんまと乗せられている自分は選択肢を選ばざるおえない。だが、取引を受け入れてもらった上の立場にある相手の指示に背く訳にはいかない、そして何時ものスーツの裾に手を掛けた。
「───お待たせしてすいません。馴れない私服のため少々手間取ってしまいました。…最善は尽くしましたが、何せ普段着というのを試着した事が此方数えれる程度にしか御座いませんでしたので…。」人混みの中、彼を見つける事は直ぐに出来た。何時ものコートを羽織る彼は自分より早く来ていたらしく少し早足で駆け寄ると上記を述べた。彼の普段の格好と似た系統の服を選んでた訳だが、その方が自然と浮かないと思ったからだ。シンプルなデザインの黒のワンピースは腰辺りから膝下を隠す程の長さで特に装飾品などはついていない、それに合わせて普段髪につけているリボンとヒールも黒に統一した。胸元に光る薔薇を模したネックレスは先日の仕事で取引先から頂いたものだ。全体的に落ち着いた雰囲気で纏めたこの服は自分なりにだが考え抜いてのもので、後待つのは彼の反応だけだった。)
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