鯨木かさね 2018-12-31 13:01:56 |
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>折原臨也
(ジャングルジムの上、両の手を叩き高らかに笑う相手を見上げる。彼の口から出た園原杏里という名の少女の事はもちろん知っている、自身と同じく罪歌の一振を所持している彼女とは面識があり以前此処に良く似た公園で会っていた。自身とは真逆の罪歌との関係を築き上げている彼女と自身の戦闘スタイルを照らし合わせた彼はきっと彼女と交戦経験があるのだろう。妖刀と共存する道を選んだ彼女と、主と従者妖刀を圧倒的な力で押さえ込み服従させる事で罪歌の力を利用する自分。お互いの心境が大きく関係するこの刀の使い道は一般の人間が知る筈がない。そんな自分等を勝手に比べる彼も彼なのだがそんな事は今は気にしていられない、再び攻撃を仕掛けるべく足を踏み込み跳躍するフォームへと移行した瞬間、彼のポケットから取り出されたのは何の変哲もない石。彼にしては幼稚な攻撃、なにか裏があるのだろうか…?、不思議に思うその攻撃に逆に警戒心が働いてしまった。だが、その石の軌道はどう見ても自身にむけて投げられてはいないようだ、「──?…一体何を。」不思議に石が投げられた方向へと目をやれば茂みに身を潜めていた1匹の猫に気づいた。迷いなく投げられたその石は、その猫へと一直線にその身を近づけて行く。野良猫はこちらの事など眼中に無いようで、余裕綽々にあくびをしている。追先程、仕事に私情を持ち込まない、そう言ったはずなのに投げられた石を───ガキンっと鉄特有の鈍い音をたてて弾き出した。その衝撃音に驚いたのか、身を震わせそそくさと居なくなってしまうた猫の姿、そして思いがけぬ自分の行動に少しだけ驚きを感じている。猫などほおっておけばよかったのに、客観的に見て今の自分の行動は合理性の欠けらも無い。内心の驚きは表情に出ることはないが、ワイヤー状の罪歌を体内に収納すると静かに彼のいるそのてっぺんに目を向けた。)
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