鯨木かさね 2018-12-31 13:01:56 |
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「仰る通りです。…私の失態は貴方に直接関係はありません、ですが貴方を今逃がす訳にもいきません。商品の居場所を知っているなら尚更です。」
(自身の横を過ぎ姿を眩ませようする相手の肩を掴んだ。ファーの付いたコートを羽織る彼のその肩を引き戻す様に力を入れる、片方だけ嵌められた革手袋。そちらの手で掴んだその部分はとくに感触を感じない、しかしひんやりと感じる鉄のような冷たさだけが自身の革手袋の内面から感じることが出来た。それもそう、ただの革手袋ではないのだから、黒い革手袋にスタンガンを模した機会を合成されたそれは肘に内蔵されたスイッチ一つで致死量の電流を流すことも出来、威嚇程度の動きを封じるぐらいの威力まで調整出来るようになっていて自身の仕事上何かと役に立つ。指先に感じる無機質な感触を相手へと押し付けるように脅しとも思われるその仕草にゆっくりと口を開く、「───その方は、私の商品です。仕事で扱っている物を、引き取る又は取り返す。という行為は道理が通っていて…其れを持ち出したであろう貴方を引き止めるのは間違っていないかと。」事務的な言葉で、少しズレたメガネの縁を人差し指押し上げて、未だ裏の読めない笑顔を浮かべるそんな彼へ淡々と言い放った。)
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