鯨木かさね 2018-12-31 13:01:56 |
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(定員から彼へ彼から自分へと、回ってきた猫用の玩具とドリンクメニューを交互に眺めて。無難に二人分の珈琲を注文すると之また定番の猫じゃらしを模した玩具を手に取った。毛のかながさや体の大きさ個々の特徴を持つ沢山の猫は、入ってきた自身の足に体を擦り付け。甘えた声を出している、注文した飲み物が手元に、落ち着いた席へと移動すれば椅子に鞄を預けて手の中にあるそれをシャラシャラと揺らす。その動きに合わせて飛び跳ねる子らをじっと見つめ猫の手に及ばぬようギリギリの距離を保ち手を素早く動かした。不思議な事に、猫にも人間の良し悪しがあるのか一緒に来店した彼の周りにはなかなか寄り付いていない。「日頃の行いか、あなたの人間性か、見抜かれているようですね。」彼を隣に座るように促せば近くにいた黒く大人しい猫を抱き抱える、長い尻尾を揺らし此方を見つめる猫を隣に座った彼の膝へとゆっくり下ろした。自分ばかり楽しむのはフェアじゃない、あくまでお互いが平等に接せられることがこの店の有るべき商売の筈。固く考えすぎた意思からは、彼にも楽しんでもらうという状況を優先するべくその黒い猫と自身と同じく玩具を彼の手へと押し付けた。黒く毛並みの綺麗なその猫は、彼の膝へと乗ったからなのだろう目の細さといいその内に秘めている表情といい何処と無く彼に似ているようで。交互に1人と1匹の顔を見比べて、「あなたがた、よく似てらっしゃいますね。良かったら猫耳をつけてくれませんか?」突拍子も無く、問題発言をしたとは自身ではわからない。だが、鞄から取り出した黒の猫耳はきっと2人が似ていることを証言するにはもってこいだ、そっと彼の前に置いて見せた。)
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