鯨木かさね 2018-12-31 13:01:56 |
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────其の考えは少し違うかと、殺してもいい。逆に言えば死んでも構わないからこそ、この子の以前の主人はこんな所に捨てたのではないでしょうか。捨てたという事は、持っている価値を無くした…。(薄汚れたダンボールに無造作に入れられた、その小さな動物に音もなくそっと近付く。雨に晒され、プルプルとその身を震わせ時折、鳴き声をあげるそれを表情の一向に変わらない鋭い目線で見つめて。猫は、自身の中で最も可愛いと思える動物のなかでも上位の獣類だ、猫の知識も豊富に揃えた自分はきっと生粋の猫好きにも入るだろう。まだ成長を遂げていない子猫のせいか、警戒心が薄く丸くキョトンとしたそんな瞳でこちらを見上げている。革手袋をはめていない逆の手でそっと頭を撫でれば目を細め甘えた声を出す、目を僅かに細める以外表情の変わりは無く。だが手に持っていた傘をそのダンボールの近くに立てかける、雨を凌ぐダンボールはこれ以上濡れることは無く代わりに自身のスーツが濡れてしまっていた。それを確認した後彼へと振り返り「…之で、この猫が死ぬ可能性は無くなりました。」淡々とそう述べて。)
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