サツマ 2018-10-29 20:29:58 |
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最近までの暑さはなんだったのか、急に肌寒くなってきた気温に一足衣替えが遅れてしまったおそ松は、なんとも特徴的なくしゃみをしつつ夕方の街を歩き帰路につく。住宅街の方向からは食欲が湧く香りが漂ってきたり、子供が楽しそうに、甲高い笑い声が聞こえてきたりと忙しそうだ。逆に少し前に通った商店街の方向からは客を呼び込む声が、人の足音が、自転車のベルが鳴る音が全てまじまりこちらに届くが不思議と耳障りにならない。
ゆっくり一歩ずつうちへ帰っていると通り過ぎようと視界の端に移っているファミレスに、見慣れた顔を見つけた。
(カラ松……と十四松?なんでこんなところに?)
テーブル席には自分の兄弟、次男のカラ松と十四松が片方の椅子に隣同士に座っていた。
普段ファミレスなど行かない自分を含めた兄弟が居るのに違和感を覚えた。しかも珍しい組み合わせでますます疑問が増えた。さらに、よく見ると向かい側に黒いスーツの男が座って居て、何か3人で話し込んで居るようで
(……誰だ?)
おそ松は純粋にそう思った。外の知り合いなど末っ子のトド松以外に居そうにない兄弟。しかし2人は真剣な表情だが、相手に他人のようなよそよそしさを感じさせない雰囲気に知り合いではあるようだな、と考えたところで、別にそんなに気にしなくても良いか、もし気になるなら夜にでも聞ける。そう思いファミレスの方から何の名残惜しげもなく視線を外した。
「ちょっと、おそ松兄さん」
「んあ?どした、チョロ松ぅー?」
不意に名前を呼ばれ、変な言葉が漏れるがそんな事は気にせず寝転んだまま読んでいた漫画に向いた目線を相手に向け、首から上だけが上を向いた状態で返事を返す。そういえばそろそろ夕飯か、とそのまま読んでいた本を閉じて隣に置く動作をしている間に、なにやら若干神妙な面持ちでこちらを向きもごもご小さく動いた口をやっとしっかり開き言葉を発し始めた。
「……カラ松と十四松が帰ってこないんだけど、何か知らない?」
「んー?知らないけど。まあでもまだ帰ってきてなくてもおかしくなくね?」
ファミレスで見つけた後一度も会うことはなかったので何をしているかも特に知らないため適当に返す。時間的にはおおよそ6時か6時過ぎだろうと考え大の大人が家にいなくても何らおかしくない為、することもなさそうなため閉じた漫画をまた開こうとする。
「そうかなあ……でもこんな時間までなにしてるの、って話だし」
「は?いや、6時とかだろ?まだ。」
「もう8時だけど」
「はぁー!?ちょ、夕飯は!?」
「食べたけど」
「俺は!?」
そう言いながら大幅に遅れていた体内時計に驚きつつ、先程の話しなど忘れて一階へと階段を駆け下りていき、取り残されたチョロ松はため息をつきつつ、まあ明日になれば帰って来るだろう、と軽い気持ちで自分のしたいことをし始めた。
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