執事長 2018-10-04 22:19:25 |
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>ドロシー
(大切そうに両手でバスケットを受け取ってくれたことに、心のどこかで安堵する。否、此方が胸を撫で下ろす必要など何処にある――?圧倒的優位者は此方である筈なのに、まさかこの人間の扱いに窮しているとでも言うのだろうか――?得体の知れない安堵の正体を見破りあぐねて、貴女に聞こえるか聞こえないかの小さな舌打ちを零す。自分に怯える愛玩動物が、警戒を解いて餌を食べてくれた時の安堵、それがきっと一番真理に近いのだろう。だがその答えに未だ至っていない吸血鬼は、貴女から贈られた感謝の言葉にさらに困惑を深める。感情を隠すことが下手なのは、前回のような直情的な態度からもお察しの通りで「…良い人、?俺が…?―ハッ、馬鹿なんじゃないの。お前、こないだ俺に殺されそうになってたのに」滑稽なほど分かりやすく動揺しつつ、自身の前髪をくしゃりと掴む。心底理解不能、そんな刺々しい視線を作りつつ「今日は、これ渡しに来ただけだから。他に要件が無ければ帰る」もはや誤魔化せるものではないが、本人はそのつもりで、ドン、と音を立てて扉の枠を片手で叩く。少し乱れた前髪が、サラリと目にかかって鬱陶しい。眉間にしわをきりりと寄せつつ、貴女を睨むように見つめて)
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