× 2018-09-13 11:26:48 |
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■物語
舞台は1920年代初頭、ヴァイマール共和制下のドイツ。大戦後の自由な雰囲気に後押しされ、あらゆる文化と芸術が花開き、その一方でどこか危うげな香りをも漂わせていた時代。オペラや前衛演劇、華やかなレビューなど、多くの娯楽で溢れかえった歓楽の首都ベルリンは、その陰で犯罪や売春の横行が増加し、モラルは地に落ち猥雑さを孕んだデカダンな雰囲気が蔓延していた。燦然と輝く自由極まれり“黄金の時代”は、敗戦の混乱と極度のインフレ、爆発的な人口増加と失業率、困窮と深い絶望の産物であった。
自棄酒に溺れた夜のベルリンが魅せるアンダーワールドの一角にて、取るに足らないロマンス劇は幕を開ける。経済混乱の煽りを食い、退役して尚窮屈な生活を強いられていた元軍人の男は、不運にも街で最も高く値のつく女に心を奪われてしまう。紙たばこの煙が渦を巻いてみなぎる、明日も見えないほどに淀みきった不鮮明な世界で、若い二人は手さぐりだけを頼りに愛を探す。
■人物
□歌姫
ベルリン市内のキャバレーで歌手として働く傍ら、政治家や高位将校を相手に高額で売春し、恵まれた生活を手にしている。彼女に魅了された男は皆が大金を使い果たし身を滅ぼしていくため、その性質から一部の男たちの間では伝説上の人魚に準え“ローレライ”と呼ばれる。隠しているが実は同性愛者。
□青年
元ドイツ帝国陸軍の兵士。ヴェルサイユ条約締結に伴う軍備縮小により兵役を解かれ、帰郷して以来父親が経営するパン屋を手伝っている。経済混乱の影響を受けて生活は困窮気味。友人の誘いで初めてキャバレーを訪れた際、“ローレライ”の歌声に強く心を惹かれ、彼女にアプローチを試みるようになる。
■年譜
1914年 サラエボ事件発生、第一次世界大戦勃発
1918年 ドイツ帝国崩壊、第一次世界大戦終結
1919年 ヴェルサイユ条約締結、ワイマール共和国誕生
1921年 ⇒ 物語のはじまり
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