名無しさん 2018-08-16 14:59:05 |
通報 |
……ようやく起きたか、戯け。――何故笑う…つくづく変な女だ。
(ここ数日で周知されている噂は眷属を通じて早々に耳にし、口々にするそれはあながち間違っているわけでもない。何時の時代も、彼等は異様な者を迫害し自分たちの地位を守ろうとする醜さは相も変わらず、それが例え同族であろうとも例外なく行われてしまう。肌や目の色といったほんの些細な違いでさえ、いつの世も隔たりを作っては異なるものを悪とし、非道で残虐な行為すら正義の名の下に権力を揮っては富を我が物顔で欲する卑しい存在。必ずしも全ての者が当てはまるわけでもないが、我々からすれば人の子の方がよっぽど恐ろしく穢れた生き物だとも言えてしまう。故に、穢れ無き者の血は極上の品となり、人の子と変わらぬ欲を出し喰らう姿は、彼等からすれば化け物とも捉えられよう。諸説あるそれらのいがみ合いに加え、近年では我らへの対抗策しての術を編み出すだけでなく、自ら禁忌を侵すべく魔に染まる輩が増えては、一向に兆しの見えない現状に深く息を吐く。それと同時に包まった布団が動き出すと苦笑交じりに上記を告げ、書物を閉じるとゆっくりと顔を上げ紅く透き通った瞳を相手に向けて。暫く間の抜けた表情のまま朧げに目を開けているかと思えば、不意に笑みを見せるその様を怪訝そうに見据え、書物を仕舞うと壁に凭れたまま腕組みをし。)
トピック検索 |