名無しさん 2018-08-16 14:59:05 |
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――おい、聖職者だろ……いい加減、そろそろ起きろ。
(追手共と遭遇してから早一週間が過ぎた頃、先の一件以来すぐさま捜索隊が編成され昼夜問わず行われたものの、一向に吉報が届かず町への出入りも次第に落ち着き始め。闇夜を新月が照らす真夜中に手薄になった警戒網を掻い潜り、教会からも見える位置に佇む彼の聖職者の家へと足を延ばすと難なく室内へと侵入し。迷いない足取りで躊躇なく寝室へと立ち入れば、寝息を立てているであろう格好の獲物を目の前に、瞳は一層に緋色に染まるも寝首を掻くわけでもなく無言で相手を見下ろし。――今やすっかり癒えた腕に処置をし、己に関わりを持とうとしてきた女。しかも、ただの関わりではなく戯言をほざく風変わりな聖職者。山ほどある腑に落ちない鬱憤に白黒つけるべく来訪したものの、流石に人の子には些か酷な時間だったかと、ボンサックを足元に置き壁に凭れては、ただ静かに古びた書物を読み耽り。刻々と針が進み次第に月が傾き透き通った空気が流れては、遠くからも小鳥の囀りが鳴り響き朝を迎えようとし始めると、書物に視線を落としたまま相手が起床する前に棘のない物腰で述べて。)
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