名無しさん 2018-08-16 14:59:05 |
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( ステンドグラスを通し月満ちた光が差し込むと、今この時が我ら魔の者にとっての至福の時間が訪れたことを認識させ、沸々と内から力が戻ってくるのを感じては暗闇の奥も良く見え始め。本能は目の前の獲物を狩れと語り掛けてくるも、まだ人の子の血を啜らずとも理性を失いこともなく、心成しか幻想的な光に包まれる聖母が此方に睨みを利かせているようにも感じられ。たかが像であり、信徒を導く力はあれど守る力があるとは到底思えず、うら若い女の血に擽られるものがないわけではないが、流石に異様な存在感を放たれては気分が悪い。静まり返った教会内で先の返答を待つも、少し圧を与え過ぎたか冷や汗を掻きながら口を閉ざし、徐に恐怖のやり場を手に込めているのが目につく。本能は嘘を付か ず、恐らく関わりを持つなとでも警鐘を鳴らし、言葉を交えるのも遠ざけてくれているのか。室内を照らす音だけがなびく中、次第に門の外からの不穏な気配を捉え始め、相手が絞り出した声をかき消すかのように騒ぎ立てるその声の主らに苛立ちを隠せず舌打ちをし。その声が大きくなるにつれて悠長に待っているわけにもいかなくなり、施した処置の跡を隠すように片腕を庇いながら、標的を目の前の無垢な者なら野蛮な獣らへと移す。扉の重たい音が響くと同時に早々に仕掛けてくるであろう奴らに対抗すべく、その先へと意識を向け迎え撃つ態勢を取るも、不意に告げられた答えに動きを止め眼を見開く。――何を言って いるのか。何故、見捨てず側に居ることを望み、あまつさえ殺されることも厭わないと口にするのか。虚勢にしてはやけに芯のある音をし、迷いのない答えのように思えるそれに困惑し、勢いよく開かれた扉の向こうにも轟かせるように故意に声を荒げさせ。 )
――興が冷めた…命拾いしたな、女ッ! 世迷い言など…俺に通用するわけもなかろう。
(引き際に退いたとも取れる言を残しては、並外れた脚力で一気に群衆を駆け抜け、鮮やかに飛躍すると音もなく夜の闇へと消え。どさくさに紛れて尖らせた鋭利な爪を懐に刺したのか、呻き声を上げ蹲る者が数名、見た目は派手なものの致命傷は避け傷自体は浅い。対面していた所を見られたとはいえ、止血の際に使用したナイフには黒い血が付着し、抵抗したとも見えなくはない。混乱しきった奴等の目にはどう映ったか、願わくば対峙していたと誤認させ彼の者に、平穏があらんことを。)
(/お待たせしました。場転ため一度引かせましたが、次の場面で手当ての礼を含めて姿を表す予定です。希望の展開等はありますでしょうか?)
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