名無しさん 2018-08-16 14:59:05 |
通報 |
(適度な暗がりを生み出し、辺りを照らす灯りがゆったりと揺らめく暫しの間、要求に応えずに姿を見せるなり唖然とその無垢なる眼に此方を見据えられ。人間とは異なる魔の者が、平然と聖域に現れたのだから無理もなかろう。ましてや、我らと好き好んで関わりを持つ者などそう多くなく、同胞らがこの町に頻繁に出入りしているわけでもなさそうだ。蛇に睨まれた蛙の如く固まっていた視線が、見せつけたそれに移り変わるとハッとした様子で目の色を変え、止血のために奥へと駆けていく姿を目で追って。その慌てぶりを他所に乾いた唇を軽く舐めると、背筋に重く鋭い視線を感じ「…別に取って喰ったりしねェよ。」信仰深いのか、マリア像からの威圧にやれやれと言わんばかりに溜め息を洩らす。一先ず追手らを無事撒けたかと意識だけを扉の方に向けているうちに、相手が道具を持って帰って来るや、唐突の申出に思わず眉間に皺を寄せ。)
……いいだろう。ただし、妙な真似はするな…。不審な動きがあれば、容赦はしない。
(警戒心を隠すことなく鋭い睨みを利かせるも、何時また追手が来るかもわからず、処置を行うのであれば人の手を借りる方が早い。声色から察するに恐らく単に治療が目的と断定すれば、冷たく言い放ちながら渋々と促された椅子へと腰を下ろし、広範囲に焼け爛れた火傷や指先にまで切り傷を負った片腕を差し出して。)
トピック検索 |