名無しさん 2018-08-16 14:59:05 |
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――教会の人間か……丁度いい、薬を貸せ。敵意はない、用が済んだら直ぐに立ち去る。
(待ちわびた日が沈みかけるのと同時に、躍起になって追い回す黒ずくめの追手から得体の知れない液体を腕に浴びせられ、体制を崩されながら宙を駆け回り小さな町に紛れ込む。その最中、身を隠すのに体の良い建物が目に留まり、変化を解けば急ぎそこへと潜り込み、祀られる忌々しい聖母の陰に身を顰めて。低俗の者ならその聖域に踏み入れることさえ阻まれるものであれど、多少長く生きそれに見合うだけの物に触れてきた己にとってはどうということのない。ましてや今は人の子の姿を保ち、追われる身の迷い込んだ者ならばと、慈悲深きマリア様とやらは寛大な処置を施すのか一時の休息と安息の暗闇を与えられほっと息をつく。魔の者が聖域に踏み入れるとは思いもよらないだろうと過信しすぎたのか、鐘の音に潜んだ来訪者にも気付かずに、先に負った焼けた肌に幾つかの切り傷に触れていた矢先、教会内に小さく人の声が響き息を呑みながらそっと様子を伺う。既に薄っすらと赤く浮かんだ瞳に映ったのは黒ずくめの者共ではなく、微かに肩を震わせながら此方の様子を伺う先程すれ違った聖職者の女。害のない人間と知れば顰めていた姿を現し、患部を抑えた際に手の平にべっとりと付いた黒く滲む血を見せつけ、淡々と応急処置に必要な物を要求し。)
(/了解しました。少々遅れましたが、此方こそよろしくお願いします。では、背後は一旦これで失礼します。何かありましたらお気軽にどうぞ。)
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