魔法使い 2018-07-08 20:11:25 |
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ニタニタ笑うのはやめろ…おやすみ
(相手を振り返ることはなかったが、発せられた言葉とともにどんな表情をしているかは大体察しがつく。鋭い口調を投げつけたあと、しばし間があってからおやすみと返事を返した。眠る前に誰かに声をかけるなんて何年ぶりだろうか。どこがむず痒い気分に襲われながら部屋をあとにする。ディラが部屋を出たと同時に客室の灯りは消えた)
…くそっ
(そのままの足で自室に向かう。リーシェの予想通り、自室は特に荒れ放題で、辛うじて道らしきものがある先にベッドが存在して いる。寝る前に本の続きをとページをめくってみるが、どうしてもリーシェの顔がチラつく。このまま本を読んで朝を迎えればしたり顔をするのか怒り顔になるのか…とにかく面倒なことになるのは変わらない。悪態をつきながら本を適当な場所に置くとベッドの中へと潜り込んだ。そしてゆっくりと目を閉じる。それにしてもあいつはどうやってこの屋敷に入り込んだのだろうか。今までどんな脅威も入り込めなかったはずなのに、あんなただの人間がなんの怪我もなく入り込めるとは思えない。結界の術式を見直す必要がありそうだ。それに…もうひとつ気になることがある。それはリーシェ自身のことだ。過剰に献身的で自分の命を顧みない。一見するとただ従順なように見えるが、誰かを守ると安心するだとか、復讐心を持つのはやめただとか、引っかかる言葉は多々ある。一体リーシェは何を抱えて生きているのだろうか…ぼんやりとそんなことを考えながらそのまま眠りへと落ちていった)
(翌朝、窓からは日光が差し込み朝を告げる。が、窓の向こうに太陽は見えるものの周囲には大地を含め一切のものがなかった。何も無い空間に孤島のようにこの屋敷が浮いているようだ。リーシェの部屋にはいつの間にか浴室で使ったベルが置いてある。これを鳴らせば魔法使いの耳に彼が起きたことを知らせる音が響くだろう)
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