魔法使い 2018-07-08 20:11:25 |
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…___つまりその性格はお前自身を守るための自己防衛手段か。余計なことを聞いたな、痛むか?
(突然雰囲気の変わった相手に目を開く。その一言で過去にリーシェがどのような経験をしたか、ぼんやりと見えてくる。怪しげな屋敷に迷い込んで即刻自分を雇ってくれと言う彼は、自身の身売りに慣れている気がした。過去に彼に何があったのか、ディラは知りたいと心が動く。ゆっくりと手を伸ばし、額に手のひらを付けて記憶を読み取る術式を発動させればリーシェの過去を鮮明に見ることができる。だが途中で、止めておこうと手を止めた。リーシェが傷つき苦しんだ過去にこれ以上踏み入れない。代わりにリーシェの頭をそっと撫でていた。同時に自分が他人に優しくできていることに驚く)
……確かに、痛みは慣れてくるものだが、慣れるものじゃない。そのうち自分をどこまで傷つけても大丈夫なのか境目が分からなくなる。傷口はどこだ、見せろ
(自分の経験談を引き合いに出しながら、首をふる。そして立ち上がって相手のそばまでくるとまたくるりと手を回し、次の瞬間には手の中に小さなガラス瓶が握られていた。屋敷に侵入してきた男を雇ったうえ、風呂も、簡素だが食事も与え、さらには傷の治療まで行おうとしている。久方ぶりに話す平和な人間に浮かれているのだろうか。自分に対してため息をつきつつ、リーシェの前に仁王立ちになり)
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