ロル好きな人 2018-06-13 17:06:56 |
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お題/『さあ、早くおいで』(2018/09/19)
「…ふぅ…やっと見つけた…大丈夫…かな?」
(灰色で分厚い雲の隙間から明るくもない光がさす。周りには草ひとつない、まるで『終末』だ。
手元には少し歪んでしまったシャベルがある。
先程まで掘っていたためか灰と砂利が所々にこびりついていた。
もう大丈夫かと思いシャベルを地面に軽く少しだけ突き刺す。
その時に反射したのだろうか、光を受けた腕のガントレットが鈍く光っていた。
本来ならば疲れ知らずのアンデッドの筈なのに、錯覚だろうか肩に負担が掛かり柄にもなく溜息をつく。
息なんて出てないのに。
「…ねぇキミ、大丈夫?」
ギリギリセーフ、と言ったところか。
先程、そこらを歩いているとふと目に止まった金属製の足とひらりとたなびく青い髪。
それと、手に抱えられた植木鉢。
…流石にこの世界じゃ芽なんて出ないだろう。
その瞬間、彼女に大きな影がかかった。
恐らく崩れてきたのだろう。
崖の上から雪崩の様に落ちてきた砂利に埋もれてしまった。
焦ってそこらに転がっていたシャベルを手に取り駆けた。そして今に至る。
どうやら負傷はないらしい。
流石アンデッドだ。
此方を向いても話しかけても何も言わないあたり、何処かのサヴァントだろうか…。
彼女の瞳には何も光は宿らず、硝子のように自分を反射させる。
「これ、君の?割れては無いけど…」
先程、彼女を見つける前に掘っていたら見つけたのだ。
金属製で、丁寧に土は整えられた、植木鉢。
それを持って問い掛けると本当に『ぱしっ』と音が聞こえそうなほど早く、取られてしまった。
植木鉢を持ち、愛おしそうに抱えているところを見る限り、それが彼女の『たからもの』なのだろう。
暫くして、彼女は煤けた地面に文字を書いた。
少し歪で、所々間違えてはいるものの読むことの出来る文字で『ごめんなさい』と書かれていた。
また少しして、文が付け足される。
『わたしのしまい、は?』
その文をみて少しチクリと痛む。
痛感なんてものは無い。錯覚だろう。
姉妹とは、仲間のような、心を許せるような存在だ。
決して掛けてはならない、大切な存在。
自分も、無くしたのだ。
この手で。解体したのだ。
少し間が開き、ハッと我に返る。
砂利や灰で分からなかったが彼女の服や足にこびりついているのは、血、だ。
所々、綺麗な部品がついているところを見るとその血は、姉妹のものだろうと察せる。
サヴァントならばこんなに丁寧に作られないし血も流さない。
彼女は悲しそうな瞳で見つめる。
つい、バッと手を差し伸べてしまった。
それは彼女を怖がらせるかもしれない。慌てて彼女を見る。
案の定、怖がっている。
震え、近くに転がるシャベルを身を守るように持っていた。
ハッとして手を元に戻し頭をかく。
怖がらせてしまっては元も子も無い。
自分よりも格段に幼い容姿の彼女を置いて行ってしまうのは少し、気が引けた。
どの道姉妹が自分も彼女も居ないのだ。ここで姉妹にするのも得策だろう。
とりあえずはついてきて貰えるように説得しようと
「え、えーっと…キミの姉妹なら先に行っちゃったみたいだ。今からならまだ追いつけるかもね。」
「俺の姉妹も先に行っちゃったらしいんだ。キミ、俺と一緒に姉妹を追いかけないか?」
…我ながら口下手だ。
「き、キミは幼いから危険だよ」とか多少言い訳じみた言葉を並びに並べてなんとか説得しようと焦っている。
その様子を見て、彼女は『おかしなひとね』と書き、その後『いいよ、いっしょにいこう』
と書いて微笑んだ。
自分がぽかんとしているのを他所目に、彼女は立ち上がった。
金属製の足が、幼い彼女を支えるように地面に立つ。
先程とは打って変わって目に光が宿り、微笑む彼女を見て、安心したような。しないような。
植木鉢を両手で抱えてとてとてと歩く彼女が
透き通るような声で
「さあ、はやくおいでよ!」
と言った気がした。)
【※サヴァント…異形の敵。たまに人型もいる。
※世界観について…俺君や彼女は痛感も感覚もない人間の上位互換のような存在。
死んでから蘇った死者のような存在。
俺君…21位の男性。姉妹は自分が発狂した際、意図的に撃ち抜いて殺 した
彼女…10くらいの少女。俺君が見つける前に戦闘が起き、他の姉妹は彼女を残して殺さ れた。
喋れないのではなく、疑って喋らなかった。
最後の言葉は実際に彼女が発したもの。
(初心者で、右も左も分からない状態で書かせて頂いたので変なところがあると思います…m(_ _)m)】
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