匿名さん 2018-06-10 21:12:24 |
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成合
な、
( 難を逃れて達成感に包まれていた自分の脳内はシャツを掴まれた感覚を認識しなかった。それに気付いたのは随分とこもった声を拾った後で、また同じようにピシリと動きは止まり声はひとつも発することができなくなったのだ。今なんて言ったのかって聞き返すこともできなくて、もちろん何か気の利いた返しを思いつくわけでもない。ただひどく小さくてこもった声を頭の中でリピートし続けるだけで時間が経っていって、気付けば噛んでいた下唇を放っておいたまま彼から視線を外すこともできない。「…な、んで」ぽつりと零れたのは小さな不満と本音で。なんか、正規のものじゃない気がしてた。好きと言われて付き合うような関係にはあてはまないのだと認識して、でもそれでいいと昨日悩みに悩んで決めた。だから今日は遠慮しなかった。それでもいいって、私は満足するって、そう決めたのに。なのに何でそんなことを言うんだ。なんで夢を見せるんだ。私はそれで良かったのに。 )
上鳴
( あの距離であのタイミングで次は一緒に回ろうって、そういうことじゃね?いや耳郎は何でもなさそうな顔してるけど、相手はそうじゃないかもしれない。少なくとも俺ならそうだ。デートの約束取り付けてるってことじゃん。うわあ、俺が彼氏だったらどーすんだよ。いや彼氏だと思ったからこそあーゆーことしてんのか?…まあ俺はどっちにしろ彼氏じゃないんだけど、いやでも俺はデートしてるじゃん!そういうことじゃん!って、少しモヤは残ったままだけど問い詰めても面倒な男に成り下がるだけなのは分かっている。ならそれはそれで納得して、いや納得はしてねーから納得したフリで次に目を向ける。次は雑貨屋に行くのが近いだろうか。心の中で自分の頬を叩き、リセットさせた。 )
…おし、んじゃ、次行こーぜ!
( 雑貨だっけ?俺さっきそれっぽいの見たような気がすんだよなー、と言葉を紡いで彼女を見やる。どうする?と目線で尋ねながらニッと口角を上げ、まるで気にしていませんよーとか、俺はめんどくさくないですよーってことをアピールしてみる。そんなことをしてみてもモヤは晴れないし見せ場を持ってかれたとは思ってしまうけど、かっこつけ損ねたのだから見せかけくらい作っていいはずで。 )
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