匿名さん 2018-06-10 21:12:24 |
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成合
( 怒らせてしまったか、はたまた訳がわからないと呆れられまっただろうか。どちらにせよ自分にとっては良くない結末で、彼がなにも行動しないこの何十秒かがものすごく重く感じる。教室の喧騒とはどこか空間が切り離されたような、そんな感じ。 )
っう、は、?
( 段々と近付いてくる距離を逃げることもできたし押し退けることもできたけど、それができなかった。足が接着剤でガッチガチに固められたような錯覚。これもしかして接吻というやつじゃいやいやまさかそんなことないよね分かる分かる分かる、と頭はどんちゃん騒ぎのパレード状態で、やがてぴたりと止まったそれにも頭や体は全く動かない。何故だか最初に思い至ったのは逃げたり目を逸らせばどこかに行ってしまうかもしれないということで、彼が己の腕を掴む手を空いていた片手でそっと握ってみた。もしかしたら汗臭いかもしれない自分の匂いや肌荒れを隠したかったのに頬が焼けるほどに熱を持ったのはその後で、何だかああもうダメだとやっぱり彼の腕を握っていた手を離した。 )
上鳴
( 上の空、上の空、上の空。だってこんな反応されたの初めてだし、教室に入るまでずっとそんなことしか考えらんなかった。教室に入ってから考えたのは、机に突っ伏して眠ったような耳郎のことでやっぱり考えることはほとんど変わらない。それでも近付かなきゃいけない。だって隣の席だし。 )
……、
( 声をかけるべきか、そうじゃないか。机に鞄を置いたままじいと彼女を見つめ、息を吐く。いやでも理由もなにも分かんなきゃこれからどーすりゃいーのか分かんねーし、今逃したらどうせ後々声掛けづらくなるのは目に見えてんだろ。そう割り切り、彼女の背中を片手でぽんと叩いた。「…なあ耳郎、」と、イヤホンをしている相手には聞こえないであろう、そんな小さな声付きで。 )
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