主 2018-06-04 19:42:58 |
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好きで寝てたわけじゃないし、能無しじゃない。戻りたい生活があるわけでもない、けど、此処は…貴方は何か…
(聞いていないと吐き捨てられれば確かにそうだと頷く、表向きは従順に見えただろうか。高圧的で押さえつけるような彼の言葉の端々を汲み取りながら聞かれたことにのみ返事をするべきか、と目の前の彼の性格を探るように黙っては相手の視線を受け止め。しかし合わさった目線の高さと小馬鹿にするような言葉に少しだけ眉を寄せては噛み付くように反論をする。しかし、すぐに言い淀み…何か、何かがおかしいのだと。じっと相手を凝視していればその答えはすぐにわかったけれど)
…牙、が
(およそ人間とは思えない牙が2つ。整った口元から見えたそれは八重歯や糸切り歯というにはあまりに鋭い。思わず、といったようにその牙をまじまじと眺めてから漸く正常に動くようになった思考で自分の立場を理解し、部屋の温度が急激に下がる感覚に身震いして。暖炉は赤々と炎が揺らめいているのに、身体は芯から冷えていく。この人は、危ない、近くにいたら危ない、だって人間じゃない。混乱した思考は一気に赤く染まり警告音が鳴り響く。咄嗟に相手に手を伸ばして…それは確かに目の前でしゃがむ彼をつき飛ばそうとしたからで…それは単なる防衛本能に過ぎないが黄色い瞳に浮かぶのは好奇心と恐怖心のぐちゃぐちゃになった感情なのだから意味がわからない。逃げなくてはいけないのに、怖いのに、その牙で人を食べるところなんて見たことがないのだから…ただその対象が自分なのは嫌だ、じゃあ誰かが犠牲になることを望んでいるのか。そんな人でなしの考えを口に出すことも出来ずに、そこまで考えが回ったところで脚が震えていることに気がついて喉で引きつった声が漏れ…こんな脚でどうやってこの場から逃げようかと。)
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