2018-05-09 18:22:41 |
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人は皆寝静まり、明かりもない真っ暗な
深夜2時15分。
己は路地裏に立ち尽くしていた。
街から山の上へと登る階段は緩く弧を描くようにカーブしていて、長く果てしないものに見える。
誰かと待ち合わせでも無ければ、この後に予定がある訳でもない。どうしてこんな所に居るのかさえも曖昧なまま唯、時間だけが過ぎてゆく。
何をしたら良いのか分からない己は、ポケットに入っているクシャクシャな煙草を1本だけを取り出し、片手で風を防ぎながらジッポで火をつけた。
ゆっくりと深く吸い込み、何も考えずに後ろにある建物へと背中を預ければ、今度は息を吐くように煙草の煙を吐き出す。
それはまるで、嫌な事を吐き出すかのようで。
文明が発達した世界に取り残され、己だけが違う世界へと迷い込んでしまったかのような静けさに嫌気がさす。
それを嘲笑うかのように強い風が吹き、何処からともなく現れた一匹の黒猫が階段の真ん中へと現れた。猫撫で声で鳴く猫は、風が止むと姿を消し、また己だけがポツリと佇む。
ジリジリと音を立てて消えゆく煙草の火を眺めては最期にもう一口だけを含み、踵で掻き消して
「 さて、帰ろうか ── 」
誰も居ない家へと歩み始め。
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