♡ 2018-04-01 01:53:27 |
通報 |
( どれくらい時間が経ったのだろうか。爆音で推しであるベーシストの所属するヴィジュアル系バンドの曲をイヤホンで聴いていて、いつの間にか目を瞑っており外はもう薄暗くなっている。そう言えばもうずっと好きだったバンドでライブも接触イベも全部余すことなく通っていたのに彼に出会ってから行く機会も減っていた。推しと恋人はもちろん別物だと考えているけれど、それくらい自分の生活が彼で満たされていたのだろうなと実感すると、もう来る気配のない彼を待つのは半ば自身の意地である。けれど顔合わせたとて、なんて声をかければいいのか。いつも通りにお疲れ様だとか大声で名前を呼べばいいのか。それともモヤモヤしている事を伝えるべきなのか。どうして声をかけるだけでこんなに悩んでいるのだろう。準備期間、今まで少し蔑ろにしていた分気づかなかった寂しさも募りに募って瞳には薄ら膜が貼り、脳内にはずっと彼と女子の姿が周り、喉奥に何かつっかえるような感覚にぎゅっと膝を抱え。依然としてイヤホンは爆音のために周りの音は聴こえず、ぐすっと鼻を鳴らし。)
◎
あーレザーのやつオレも可愛いなって思ってたんだよね
( 彼女に腕を引かれ、目の前に広がる多種多様なプレートの中にレザー素材でなおかつシナモンの形をしたもの見つけるとこちらも瞳輝かせそれを嬉しそうに手に取り。本日自分はネームプレートを作る予定など一ミリもなかったが、シナモンとなると話は違う。既存のよくみんなが持っている物は勿論作ってあるので今日はこれにしようと既に心に決めていて。レザー素材のうちで彼女がこよなく愛するハート型のキキララのプレートを見つけるとそちらも手に取り、「詩乃、これ可愛いよ。一緒に通学鞄に付けよ?」と提案をしてみたり。一方で姉はと言うと如何に推しの名前が可愛く作れるか、デザインのあれこれを彼女の妹に伝授しているようで珍しくガチモード。自身の姉と彼女の妹なんてまあ珍しく異質な光景だろうが、今後もこうして楽しそうに遊ぶ二人を見ていきたいな、なんて思えばキュッと手を握り返し。)
トピック検索 |