赤の女王 2018-03-10 15:26:43 |
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>公爵夫人
( 己の考えは少なくともマイノリティでは無かったと思うのだが、それが馬鹿の烙印と共に呆気なく両断されては不可解よりも乾いた笑いが零れ落ちて。他でもない情報源の相手が手遅れだと、諦めろと言っている以上それ以外に方法は無いのだろう。アリス選考の云々は一先ず頭の隅に保留しておくこととして、「 ……、分かった。少なくとも、此処の方が気が楽なのは … 否定出来ない。 」 示した理解は全くの虚偽だが、長い嘘を澱みなく続けられるほど器用な口ではなく。ぱっと相手の顔の傍で広げられた扇状に目を奪われた所為か、視界の端を動く手に気づいた時には既に髪を撫でられる感触が有り。酷く懐かしい其れに昔の影が重なり、鬱陶しくて仕方がない。だが顰められた眉は次の相手の言葉により多少なり解されてしまった。自分だけの部屋。外部と遮断される、どんな己でも許される場所とは抗いがたい魅力がある、と先程までの戸惑いは彼方へ消え大人しく相手の後ろをついて歩きだし。「 ―― … 君は、公爵夫人、だったか。 」 掴んでいた手を離しても尚後ろを行くこと少し。見知らぬ人間との沈黙は苦手ゆえに、庭園の薔薇へ視線を流されつつも随分と最初の方に拾った名前を確認する様に呟いた。之が話のきっかけになると思って。「 男性的、いや、女性的、いいや 、…… 随分と、中性的だ。 」 一見では女性のようだったが、少し低い気がする声は男性の範囲内。詰まる所正確な性別が分からない相手に投げる褒め言葉を悩んでは、最終的に真ん中へと落ち着いて。「 その、名はどう呼べばいいだろうか。」 褒めたのならば次は呼び名の話、と比較的最近に読了した人付き合いのルーツ本に倣った人付き合いのルートを馬鹿正直になぞり行き。 )
>帽子屋さん
ふふっ、貴方もそれを言うんだねぇ。うんっ、帽子屋さんには特別美味しーのあげるからぁ … たっぷり、期待してて?
( 手作りの珍しさは何処も其処も変わらないらしい。手作りの権威と相手の恩情にひっそり感謝しつつ、ぱちんと片目を瞑れば期待のハードルを上げて。仮装のことは考えていたものの肝心の内容は朧気にしか考えておらず、リクエストを問われても咄嗟に口に出すまでには至らずに。だからこそ相手の出してくれたアイディアが形を成す助力となれば、顎に人差し指の先を当てて思案顔。ドールに吸血鬼。どんなものかと想像してみるものの、どちらも触れる機会が少なかったために記憶にあるモデル像が鮮明には浮かばずに。そんな時に手招きされた作業部屋への招待は実に有難く、いいの?と首をかしげたのは一瞬、素直な足は案内されるがままに部屋へと入って行き。―――― 何処を見ても目移りしてしまいそうな誘惑の中、指定されたラックの前へ立つと其処に掛かる仮装の数々に目がつい輝いて。「 すごーい … !これ、全部帽子屋さんが作ったの? 」 帽子屋というのだから帽子に注力しているのかと思っていたが、それが思い違いだということは目の前の光景が証拠で。一着一着見ていきたい気持ちをぐっと抑えつつ、目に付いた黒いローブを見てふと思い出したことがあり。「 そーいえばね。リディの生まれたところでは、頭が人で体が蝙蝠の吸血鬼の話があったんだぁ。名前は何だったかなぁ …… 、 」 昔、母親に教えられたその容姿を何となく脳内に描きつつ、手にしたローブを蝙蝠の羽の形になぞりながらアイディアの一つとして挙げてみて。「 だから、蝙蝠の仮装なんていうのはどーかなぁ、? 帽子屋さんは可愛い服の方が好き? 」 ちらり、また相手を見ると意見を求め。 )
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