赤の女王 2018-03-10 15:26:43 |
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(見たいと言う理由で選んだ浴衣は彼女の好みに合うだろうか、結局は自分本位だった其れを彼女が伝わる様に喜んでくれた事で安心すれば着替え室へ向かうその姿を見送って。暫しの間、時折話しかけられる声に応じつつ大人しくその場で待っていればお節介役のメイドより、折角のお祭りならディーさんも着替えなきゃ。と持ち掛けられたのを切欠に、あれよあれよと気づいた頃には深い海のような紺色をベースに白いラインが入る浴衣、腰で締める帯は自信の髪色に近い深い赤紫色で。髪型も綺麗に纏めて貰っても、矢張り簡単な男物。着替えに要する時間はさして必要では無くて。彼女が戻って来る頃には確りと待つことが出来、迎えたその姿に思わず見惚れ。時間が止る、と言えば大袈裟かもしれないがドキンと心臓が高鳴り周囲が目に入らなくなる感覚は、やぱり大袈裟では無いと思い直す。きらきらと彼女の回りだけが輝いているような、そんな感覚に思わずごくりと息をのみ「___、驚いた、」ぽろり、と落とした言葉は初めての感覚に戸惑うそれで。散々見惚れるように向けた眼差しは今度は生まれる緊張感に思わず逸らされて、隣に並んでも今度は顔を向けることが出来ず。しかしそんな青臭い緊張で誤解を生んでは大変だと「凄い似合ってる。美人過ぎて慣れないくらい、__あんまりにも可愛いから緊張しちゃって、……あーっ。ごめん、俺、いつもと違う」ドキドキと煩い心臓のせいで考えが上手くまとまらない。首の後ろをかり、と掻く刺激と痛みに落ち着きを取り戻そうとし。改めて咳払いを一つ、未だ少し照れてしまう羞恥によって顔に熱が集まるのを感じながら、片手を差し出して「行こっか、」に、とはにかむように笑みを浮かべる。普段と違い、纏められる髪の毛先が揺れるそれだけの事にだって心臓を掻き乱される気になるのだから、浮つくその感情を何とか抑え込んで)
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