《聖母マリアの孤児院》人数制限有/特殊

「…おい…それ以上こっちに近づいてみろ…お前の血でそこらを真っ赤に染めてやる。理解できねぇか？それならお前の肉をこの爪で切り裂くしかなさそうダナァ？！｣

｢俺が怖いか？そんならお前の本能はきちんと働いてるってことだ…俺の近くでは気をつけて過ごせよ？お前が俺を怒らせた時俺がどうなるか…まぁ、知らない方が身のためだ｣

名前/エリック・マッケンナ
(Erik Mckenna)
年齢/ 16
性別/ 男

容姿/
身長187cmと年齢のわりにかなりの長身。肌は長年日に当たってなかったせいで不健康に白く、体中にある生傷が赤く痛々しく浮かびあがっている。特に首輪の跡は赤紫色の痣として刻まれており見るに絶えない。肌の不健康さに反して体つきはかなりしっかりしていて胸筋や腹筋がくっきりと浮かびあがり逞しい。ゴツゴツとした骨ばった指で爪は意図しなくとも鋭く尖ってくる。歯並びも実に健康的であり、特に普通の人間よりも犬歯は鋭く大きく、怒りで歯を見せた時にはその犬歯がギラリと顔を覗かせる。髪は銀髪でハサミでむちゃくちゃに切り刻んだベリーショート、長さはまちまちだがある程度毛流れは整えている。目は細く切れ長で、常時睨みを聞かせているような険しい目。瞳の色は黄色。左眉から左目にかけて切り傷があるが、目はきちんと見えている。上半身は何も身に纏わず、下半身には黒のスーツズボンを履いているがサイズと丈が全くあっておらず、腰周りがだぼだぼにも関わらず太もも半ばまで足が見えてしまっている。これは兄のお下がりの古いものを着ているため。上半身は狼に変身する度に破けてしまうので着るのを止めた。これらの上から大きな黒い布を羽織り、全身を隠している。頭部分の布をフードのようにして目深にかぶっており、外側から見えるのは目と口だけである。
怒りによって狼へと変身したときには全長2.2mほどの体になり四足歩行で素早く動くことも、二足歩行で立ち上がることも可能になる。顔は完全に狼のそれとなり、全身は灰色の毛で覆われ、体中の傷は毛で隠れて見えなくなる。手と足の爪は硬い石壁を用意に削りとる強さを持ち、牙は骨と肉を噛み砕く。服を身に纏っていた場合巨大化に耐えきれず大抵切り裂けるが、ズボンは変身後のサイズも考慮しているため裂けることはなく、体を覆う布はちょうど首あたりに巻かれる形になる。顔や手だけなど、一部だけが狼に変身する段階もあり、狼への変身度合いは怒りの度合いを表す。

性格/
怒りの沸点が非常に低く常に何かしらにはイライラしている。それゆえに口を開けばいつも喧嘩ごしなうえ相手を煽り傷つける言葉を平気で口にする。まるで狼になる機会を自ら作り出し、破壊の限りを尽くしたいと願っているようでもある。しかしその実態は自分に対する愛の確認。彼にとって相手を傷つける事は、相手を傷つけ罵っても自分の近くにいてくれるのかの確認作業で、傷つけた結果相手が去っていけば自分の力に恐れをなしたと自尊心を高め、離れなければ物好きだと言いつつも自分を手放さないでいてくれると安心する。自分の暴言暴力が愛の確認行為だとまだ幼いエリックは自分で理解できておらず、エリック自身は自分の中に眠る狼としての本性が抑えきれていないと解釈している。当然周囲の人間からは思春期独特の所謂『荒れた行動』だと解釈されている。相手を傷つけることでしか愛を確認できないのは、実の兄から酷いDVを受けていたためで、素直な気持ちを伝える手段を知らず、暴力でしか自分の心を示すことができない。それゆえに見返りや裏のないストレートな愛情や好意にはどうやって接したら良いか分からず非常に弱く、相手を遠ざけようとする。相手を傷つけるくせに孤独になることを非常に怖がっており、教会から出ていこうとはしない臆病者。だが、それを周囲の人間に悟られないように怒りのボルテージを怖いものなどないかのように装っている。③に頼まれ度々人を狩ってくるが、その度に兄を殺した瞬間のことを思いだし、人知れず膝を抱えて震えている。

備考/
中流階級の家系出身で父親は権威ある判事。エリックは生まれたその時から狼の姿と人間の姿を行き来する体質を持っており、両親はエリックを死産扱いとし地下へ幽閉した。檻に入れられ首輪をはめられ、自由に出歩くこともできなかった。両親はエリックに見向きすることもなかったが、兄だけはエリックのもとへ足しげく通い、食事を与えたり本を読み聞かせたりしていた。だが同時に兄からは酷い虐待を受けており兄の機嫌によって鞭打たれたり首輪に縄を繋がれ引きずり回されたりと好き勝手にやられていた。だがエリックの体が狼由来で頑丈であったこと、また兄が時折見せる優しい面が唯一の救いだったことから、エリックは決して兄に逆らわなかった。典型的なDVの手口である鞭の中にほんの少しの飴が混じった日々を通して、エリックは兄に身体的にも精神的にも支配されていたのだった。よって幼少期を除いてエリックが怒りによって狼に変身することは全くなく、ただ兄に支配される日々を過ごした。ある日、兄の機嫌が悪く、鞭を打たれ体を殴る蹴るされたあと『お前は家族でもなんでもない、ただの怪物だ』と言われる。エリックにとって兄との血の繋がりは孤独から逃れる唯一の絆であったのにそれさえも拒絶され、エリックはわずかな光りさえ失った。そこで抑え込まれていた怒りの感情が爆発し完全な狼へと変化、怒りをコントロールできないまま実の兄に手をかけ、自分を繋いでいた首輪も自分を閉じ込めていた檻も、全てを壊して外へと飛び出した。無我夢中で逃げた先の路地裏で初めての外の世界にどこへいけばいいのかも分からず膝を抱えて座り込む。兄の死に際の顔が忘れられず、兄が自分を探しだし報復しにくるのではないかという幻影に囚われて膝を抱えてただ震えるしかなかった。そこにたまたま神父が通りがかり孤児院へと誘われた。兄以外の人間とまともに接したことがないため、エリックの態度は兄の生き写しであり、誰からも支配されないように他人を威嚇し自分の強さを誇張する。皮肉にも兄の気まぐれな教育のおかげで一通りの常識は持ち合わせ他人とのコミュニケーションも問題ないが、字を読むのが苦手であり、字を書くことはできない。

ロルテスト/
/孤児院に初めて訪れた時
…
(隣にいる男が不気味なほど優しい笑顔を浮かべて目の前の建物を指差す。視線を誘導された先にはいつしか本でみた教会というものがあって。本にあった教会は様々な木々や花々に囲まれていたように思うが、目の前にある教会は蔦に埋もれ薄雲った背景と相まって決して華やかな場所ではなさそうだと内心思うも自分にとっては人生で初めてみる教会であり、写真とは違い色を伴って目に流れ込んでくる風景に心を奪われ、目深に被ったフードを少しだけあげてしばし教会を眺めて)
…
(男に案内されて教会の中へと進む。建物という閉鎖された空間に入ると、嫌でも自分が住んでいた場所を思いだし外套の下で拳を強く握ってしまい。神経を張りつめながら男の後ろを歩き、やがてひとつの部屋へとたどり着くと、その部屋には大きな窓がありベッドが4つもあり、明るく灯る光りもあって。まるで本の中の世界に入ったようだと部屋を眺めていると、男が自分の背後に移動する気配がして。途端に悪寒が体を駆け抜け、次に何をされるのか、鞭を打たれるか、首輪をつけられるか、蹴り飛ばされるか…などと思考が巡り。そんなことをもう二度とされるつもりはなく、兄を殺した時と同じ、体が熱く燃え上がる感覚を覚え。同時に鼻は前につきだしていき、両腕が毛深くなると、体を後ろにひねり人を殺す力を持った爪を男の首もとへと向け、犬歯をむき出しにして精一杯男を威嚇し自分の方が強いと暗に示し。男は恐怖の顔を浮かべたが、すぐに先ほどと同じような不気味な笑顔を浮かべ『大丈夫だ』とそう口にし。しかし、自分を拾うような人間を信用するなどできるはずもなく)
…二度と俺の背後に立つんじゃねぇ
(低く唸るようにそう言ったあと、男に向けていた手を下ろし、そうすればするすると狼に変化した体は人間のものへと戻っていって。顔をさらに隠すようにフードを引っ張りながら男から離れて部屋の奥へと進み。檻の中よりもはるかに広い空間のそこに居心地の悪さを感じながら、エリックの新たな生活は幕を開けた)


/孤児院に来てから暫く経ち慣れた頃
…おら、取ってきたぞ
(食堂にいる少し年上の少女が座るテーブルの上に麻袋を乱暴に放り投げ。どさりと重い音がした後麻袋についていた赤色が少しばかりテーブルに移るが、少女はそんなことを気にせずに嬉々として麻袋を開封しにかかり。袋が開封される前に食堂を出ると、いつもより少し早足で倉庫へと向かい。薄暗い倉庫に入ったあと、素早く扉を閉め隠し持っていたろうそくに火を灯すと、倉庫の一番奥の物陰に滑り込んで膝を抱えてなるべく体を小さくし)
…あいつは死んだ、あいつはもういねぇ。俺が殺した…今日殺したのはあいつじゃねぇ、あいつじゃ…
(自分に言い聞かせるように同じような言葉を繰り返して、頭の中で流れる血にまみれた兄がいつまでもこちらを見つめる映像を振り払おうとして。そして同時に、教会に住む誰かがこの倉庫にきて自分の弱い姿を見てしまわないようにと願っていて)


(/お待たせしました⑥の狼に変身する子を予約していたものです！思春期真っ盛りということで性格から生い立ちからいろいろと盛り込みましたが、大丈夫だったでしょうか？もしなにか不備等ありましたらご指摘ください)