ななしのあるじ 2018-03-02 08:10:39 |
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(此処はどこなのだろう。何もかもわからなかった。見渡す限り、そこらは一面白の世界。ふわふわと揺蕩う、ただそれだけ。何もないし、誰もいない。虚無といっても良いかもしれないほどに、寂しい空間が広がっていた。これはきっと夢だ。そうだとわかっていても恐怖が沸き上がってくるのは、自分が臆病者だから。もっと強くなれたのなら、こうして怖がる必要もないのに。踞って膝を抱える。孤独感が増すような気もするが、しかし何も見えない方がかえって平和な気さえしてくるのだ。「はやく、醒めて……」一人、ぽつりと呟く願い。こんなにつまらない夢を継続したって、何も面白くない。そっと顔を上げると、そこは真っ暗になっていた。嫌だ、嫌だ。どこからか聞こえてきた、まあだだよ、と嘲る声。どうして、終わらないのだろう。白い影へ掴み掛かろうとして、バランスを崩した。しっかりと痛い。苦しさを断ち切るように声を出した。)もう、終わらせて。
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