カタバミ 2018-03-01 19:09:33 |
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人類という存在は、神へ祈りを捧げる。
圧倒的な力を溢れんばかりに振るう拳の持ち主は、冷たい熱に満ちた不定形の塊を理不尽かつ無慈悲に自らを除く者に向けて、柔らかな肉体へ殴りつける父親。
口が今にも裂けてしまいそうなほどに開き、ただひたすらに叫ぶように声を上げ、正当な装飾品を顔やスーツにあしらえ感情を粗暴な銃弾へ変えて放つ政治家。
か弱く、清らかに、そして哀れな色に染まった身を風に揺れる衣服の奥へ潜めながら標的に歩み寄り、透明な卑劣を宿す涙を不意に一滴ずつこぼす女狐。
それだけではない。両手の指なんかでは、まるで足りないほどの害悪は減って増えてを常に繰り返す。それを消したいがため、意思を行動へ移しても跳ね除けられてしまうだけの人間は律儀に数えていては切りが無い。
だからこそ、神へ祈る。頼る。願う。
……では、人間にそうされ続ける「神」は誰へ、何へ祈るというのだ?
【一人の神父の手記。最初の項】
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