⦿ 2018-02-04 01:00:11 |
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Roddy McTaggart
基地には行かなかった!? 三時間もかけて一体何してたんだよ!俺の機も確認してくる約束だったろ!
( 軍の給食以上に質素な内容の昼食を終え、さてひと眠りしようかと布団をかぶった矢先に訪れた間の悪い面会客は、あろうことかたった三時間前に顔を合わせたばかりの同僚だった。たしか基地の空爆を聞きつけて大慌てで戻ったのではなかったか。何故またこんな所に居るのか、と尋ねるまでもなく、こちらの表情から言いたい事を全て読み取ったらしい彼はいつもの締まりない笑顔で「やっぱり基地には行かなかった。」などと宣うものだから呆れて物も言えない。否、実際は大声で怒鳴りつけてやった。渋々その言い訳に耳を貸してやったところ“あまりにも渋滞が酷く引き返して来た”というのが相手の言い分らしいが、しかしそれくらいの事で諦めて踵を返してしまうなんて、そんなに根性の無い男だっただろうか。どちらにせよ確実に分かる事は一つ、撃墜スコアに劣らぬ機体トラブル歴を誇り、“飛行機に愛されない男”の異名を持つ彼のことだ、その愛機はドイツ軍の贈り物を寸分の狂いなく頭上に受け止め粉々に砕け散ったに違いない。はあっと大きなため息を吐きだしてみせたあと、厭味たっぷりに告げてやる。 )
どうせお前の機はダメに決まってる。また機体を壊したら次こそ爆撃機隊に転属だって大佐もお怒りだ。ああ別れが惜しいよヘンリー、もう君と共に飛ぶことは二度とないんだろうな。
Henry Bedingfield
安心してくれ、仮にそうなったら君も一緒に行けるよう頼んでやる。
それより、先週に比べたら随分と元気そうじゃないか。あんなに不貞腐れていたのに。
( 同僚の彼に当初の目的を果たせなかったことを正直に告げると、途端にアイリッシュ訛り特有の早口で捲し立ててくるものだから言葉の半分もまともに聞き取れず、それでも言わんとすることは大方予想できるので適当に言い訳を並べておいた。“基地の手前で意中の女性を見つけたので車に乗せて病院まで送りに来た”なんて包み隠さず白状してしまえばそれが最後、彼の英語は忽ちイングランドじゃ通用しない代物になってしまうだろう。相手はその言い訳にも尚釈然としない様子であったが、今度は洒落にならないアイロニカルなジョークと共に下手くそな泣き真似なんかを始めるので、隣の寝台の男が煩わしそうに寝返りを打ち、しかしそれに気づく様子もない彼の声のボリュームを下げるべく寝台脇の椅子に腰かけてその側まで寄ってやる。それにしてもまあ一週間前に見舞いに来た時には人が変わったように口を閉ざしっぱなしだった彼がいつもの調子を取り戻してくれたのは喜ばしいことなので、冗談を交えてそれを伝えてやるとまた怒鳴られてしまった。不貞腐れていたんじゃない、というのが彼の言い分だ。その主張が正しいかどうかは置いておくとして、先程の“機体が破壊されただろう”という彼の予想はあながち外れていないかもしれない。ただでさえ少し前にも工場が爆撃されて戦闘機の生産に影響が出ているというのに、こんな時に貴重な機体を失うのがかなりの痛手であることに違いはない。戦闘機の数が間に合わなくなれば彼の言う通り爆撃機隊に転属なんてことも実際有り得る話だ。そうなった先の事を考えると憂鬱になるが、まだ愛機が壊れたと決まったわけではないのだから考えたって仕方がない。そう、まずはモンロー中尉の様子が判り次第それを彼の隊長と中佐に報告して、…マクタガート少尉は予定よりも早く復帰できそうだと伝えてやろう。今にも足元の牽引器具を蹴り倒して飛び起きそうなくらいだ。そんな同僚と他愛もない言い合いを続けていたせいで彼女が大部屋の扉を潜って来たことに気が付かず、名前を呼ばれてやっと其方へ顔を向けると、掛けていた椅子から腰を上げて。)
もちろん。 一度場所を移った方が良いかな?
(/こんばんは。展開の件、問題無いようで安心致しました!カティ背後様のご協力のお蔭でとても素敵な道筋を描けることができ、先の展開が楽しみで仕方ありません…!今後も度々ご相談させて頂く機会があるかと思われますので、その際にはまた宜しくお願い致します。また下宿先の件ですが、カティ様が毎朝徒歩か自転車で通勤されることを考えるとカムデンだと少し遠いので、バービガンの方が丁度良いかもしれませんね。下宿先はロンドンと反対方面でも不都合というわけではありませんので、バービガンのままでも大丈夫です。こちらも色々と考えて下さりありがとうございました!モンロー中尉のPFは次回投稿させて頂きますね。)
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