⦿ 2018-02-04 01:00:11 |
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ドイツさんの邪魔がなければ、今頃フランスへ連れていかれてたかもしれないのね。フランスではコーヒーが主流なんですって、たまには紅茶以外もいいかもね。...エッフェル塔へ登れる日も来るのかしら、今は世界一ではないけれど物凄く高いんですって。
( 停車の時とは打って変わって静かで軽やかな発車に良い意味で期待を裏切られたが、話の先に見えたのは今は亡き彼の姿。思わず顔に出てしまったのではないかと、次の瞬間には伏せた目を窓の外の景色へと移行させて。舗装も儘ならぬボコボコとした道を通りその揺れに身を任せ、ゆらゆらと揺られながら、少し無理をした調子で声をかけて来る運転手の様子にやはり気を遣わせてしまったなと内心ため息をついては、軽口に合わせるような素振りを見せて。窓際に肘をつき頬杖で、ガラスに映る自分の顔を眺めればそこにいるのは美しいと言われるには些か暗い表情。その気分を変えるべく瞳を閉じ、両親が昔旅行したというフランスの景色を思い浮かべる。写真にあったエッフェル塔には大きく「CITROEN」と書かれており、車の広告だと両親は言っていたがその様はなんとも美しかったことを思い返し、フランスへ行くというのも悪くはないと現実からの逃避行。10年ほど前まで世界で1番高く美しい建築物であったのだが、美しさは劣らないもののアメリカのビルに抜かれてしまったのだ。そのアメリカのビルにだって戦争が終われば、いや無ければ隣にはいない彼とだっていけたのだ。結局どんよりとした気分は戻ってきたが、幾らか気は晴れやかだ。しかし、この車は時期に戦争という現実に自分を引き戻す過酷ともいえる病院へと向かっているのだから、ちっとも明るい気持ちにはならない。車に乗ってから長らく経つが、やっと隣に視線をやるとそこにいるのは思い描く人物で無いが、顔の整った男性がハンドルを握っている。きっと彼だって他の患者やなんかと一緒だ。決めつける事は良くなくても、経験上彼女に寄って来る男たちは皆カティの外見にしか興味がない。軍人ならなおさら、国のために働いているのだから、一夜だけでもというのが後を絶たない。親切に見返りを求めて来る、だから車やなんかに乗らないという気持ちもあったが今回はすんなりその話にのった。それは彼が誠実そうだからなんて簡単な理由で無いのは明らかだが、何故それが今日で何故彼であったかはカティ自身にも分からなかった。きっと病院へ着けば人が良さそうな彼だって何かを求める。そんな諦めで内心安易に恩を受けたことに自嘲するもすでに遅い。少しでも気を紛らわそうとカーステレオに手を伸ばす )
音楽は掛かる? それともラジオ? どちらか流しても良いかしら。
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