xxx 2017-12-05 23:46:58 |
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>92 レノ
中、入れよ。外よりは暖かいからさ。(彼の表情に幾許かの安堵が浮かんだのを見て、ふっと緩んだ表情には同じ様に安堵の色が浮かんだだろう。尤も、目には見えないのだが。既に入口の扉は閉まっていたが、それでも冷たい外気に近い分、扉の傍の空気はひんやりとしている。ただでさえ不安の拭い去れない状況、体温まで低下してしまっては元気になれるものもなれまいと、比較的空気の暖かい玄関ホール中心部辺りまで進むように促しながら自分もまた数歩進んで玄関ホールの中心に立った。改めて彼の方を向き直った所で伸びて来たのは、矢張り不安の色を残したままニットを引く控えめな手。此処へ招かれる死にたがりの個性は様々で、こうして最初の迎えを担う住人は臨機応変な対応を求められるのだが、それでも得意不得意はある。自分の場合、彼の様に不安気であったり怖がっていたりするタイプは、運良く得意な部類だった。見てくれを除けば圧倒的に普通、正直な所個性派揃いの住人達を思えば少しばかり引け目を感じてしまう部分ではあったのだが、こんな時ばかりはこの普通こそが功を奏する。瞳こそ合わせてやれないものの、顔も体も確りと彼の方へ向けたまま「取り敢えず…順番に説明するよ。此処は、お前みたいな死にたがりのニンゲンだけが招かれる特別な館なんだ。館に選ばれた死にたがりだけが、死の寸前に元の世界から切り離されて、此処へ招かれる。だから、ええと、つまりな、お前は**なかったんだよ。」と此処へ来る死にたがりの誰もが疑問に思う点についての説明を。勿論、これだけで理解して貰えるとは到底思ってはいないのだが、一先ずは一通りを説明しなければならない。少しでも彼が落ち着く手助けになればと、バスケットの中のスコーンをひとつ摘んで彼の方へ差し出しつつ「それから、お前の友達は残念ながら此処には居ない。あいつはもう死んじまったんだ。」とも付け加えて)
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