xxx 2017-12-05 23:46:58 |
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>74 夏目央
(この館の敷居を一歩跨いだその瞬間から、見るもの聞くもの全てを前向きに受け入れようとしている――否、それまで彼女が身を置いていた環境と比べれば、これ程不可解で身勝手な出来事さえも"面白い"と評するに値するのだろうか。柄にも無くそんな詮索をしている事に気が付いて、彼女に背を向けたままバツの悪そうな顔をした。常に自分が全ての性分、他人に興味をもつ事自体が久しい出来事であっただけに"ったく、調子が狂うわね"などと思わず口をついて飛び出しそうになった言葉を喉の奥へと押し込む。巨体をくねらせ進んでいくのは玄関ホールの正面にある階段を上った所にある扉の先、薄暗い廊下を這って進むその後ろ姿は後方を振り返りはしなかったが、彼女の足音が離れない程度の距離を保っていた。今夜はまだ、あの喧しい双子達の笑い声が聞こえない。彼女を部屋まで案内するには好都合な状況であると判断し、今の内にと真っ直ぐに死にたがりの為に用意されている部屋を目指した。途中、後方から聞こえて来た質問の声にはぴくりと片眉を上げて「――忘れたわ、そんな昔の事。」と、真偽の程は定かでは無いが素っ気ない返事に留める。更に、小さな好奇心のままに付け加えられた要望に対してはふん、とまたも短く鼻で笑ってみせた後、「お断りよ。アンタが入って良い部屋じゃないわ。」と一蹴して)
悪いわね、そろそろ時間だわ。館の明かりが消えるのよ。
暗くなったら何処から何が飛び出して来るか分からないわ、さっさと部屋に戻りなさい。
まあ、大体はあの煩い双子だって決まってるんだけど。
その内また明かりが灯る事もあると思うわ。
どの道、暫くは此処から出られないんだから、また見掛けたら遊びに来な。
もたもたしてないでさっさとベッドに入りなさいよ。
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